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KHDDD発売記念再録

第1章 DDD発売記念



黄昏の空が美しい街があるのだと聞かされたわたしは、その世界への興味がどんどん膨らんでいった。行ってみたいとリクに頼み込んで、今日は連れてきて貰ったのだ。

街では、なんとかいうチャンバラの大会の話題で持ち切りだった。
見たことも聞いた事もない競技に胸が熱くなったわたしは、リクも一試合してみたらどうかと誘ったが、どうやら、そうも行かないらしい、住宅街行きの電車の時間に間に合わないとの理由で、スト…ストなんとかいうゲームは結局見るだけとなった。

街の少年少女達が、皆一様にアイスを食べながら観戦している姿が気になり、夏休みだものね、と感心したところで、わたしもアイスが食べたくなって、買いに立ち上がった。


「どこへ行くつもりなんだ」


1・2歩進んだところで呼び止められた、ああ、またやってしまった、黙ったままどこかへ行ってしまうのは、わたしの悪い癖だ。

アイスを買いに行こうと思って、
買ったらすぐに戻るよ…と言おうとしたところで、迷子になられたら困る、と、リクは立ち上がり、わたしの手を握った。

先ほどの空き地から少し歩いたところにある駄菓子屋さんに目当てのアイスは売っていた。
ふたつ下さいと頼むと、店主のおばさんは、彼と食べるのかいと、お節介に訊ねてきた。

リクはそそくさと手を離し、少し遠くへ行って何かこちらへ呼び掛けていたが、おばさんの話に夢中なわたしは空返事を飛ばしておいた。
どうやらこのアイスの棒にはアタリハズレがあって、アタリが出ればもう1本貰えるんだと。

お会計も済み、さあ食べようと振り返れば、そこには誰もいなくて、
そんなまさか、
と、辺りを見回しても、それらしい銀髪は見当たらなかった。
困った事になってしまった、
完全に見失ってしまった、迷子だなんて冗談じゃない。

駄菓子屋のおばさんも心配して声をかけてくれる始末、一緒にいたお兄さんなら駅の方へ行ったかしらね、そこの坂を登った先よ。
…駅に向かったとしたら、きっと住宅街行きの電車の発車時刻が近いのかもしれない、おばさんに礼をして、坂を一気に駆け登った。
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