第1章 新しい学園生活
1-9.俺は地球人ら!
「に~ちゃーんっ!」
光くんはネクタイの色から察するに1年生。
しかし、まるで躊躇することなく3年生の教室に飛び込んだ。
嗚呼、無邪気って怖い。
「あれ、光ちん、こんなところまでどうし……
られらろ! しょにょおんにゃ!?」
彼が呼びかけたのは一段と背の小さい少年。
アタイの姿を見るなり、ビクッと身体を震わせると、
何事かまくし立て始めた。
……宇宙語かなぁ?
「に~ちゃん、またカミカミなんだぜ?
ね~ちゃんさ、どこ連れて行けばいいかわからなかったし、
取り敢えず、に~ちゃんのところに連れてきたんだぜ!」
「はあぁ!?
お前、そいつ女だし一般人らったらどうしゅるんらよ!?
誘拐はさしゅがにみゃじゅいろ!
なんれつれだしょうとおもっらんら!?」
どうやら光くんは彼の言葉がわかるらしい。
アタイには全然わからない。
光くんも筋道立て話すわけでもなく、順番は滅茶苦茶だが、
なんとか彼に状況の説明をしようとしているようだ。
……なんて高度な会話なんだ。
「色々あって生徒会の人に巻き込まれそうだったんだぜ!
えっへん! 人助けしちゃったんだぜ!
に~ちゃん、褒めて褒めて☆
そんで、落ち着くといいんだぜ?
ほら、スーハーって深呼吸すると落ち着くって、
創ちんも言ってたんだぜ!」
「スーハー……光ちんに宥められるなんて……。
ありがとな、光ちん」
「あ、宇宙人が日本語話せるようになった」
つい思った事ががぽろり。
「なんらお前! 俺は地球人ら!」
ビシっと指をつきつけられた。
先程よりは酷くないが、相変わらずカミカミである。
名札を見るになずな先輩というらしい。
可愛いなぁ。
ちょっと苛めたくなるタイプだ。
先輩だからやらないけど。
「……うーんと、今の光ちんの話と、
最近流れてた噂で分かったけど、
さては、お前が噂のプロデュース科の転校生だな?
本当に女なんだなぁ?
ま、自己紹介しておくと俺は仁兎なずな。
Ra*bitsってゆーユニットのリーダーやってるんだぜ。
ユニットともども宜しくなっ♪」
「あ、俺はRa*bitsのスーパースター天満光なんだぜ☆
他にも後2人1年の仲間がいるけど今度紹介するんだぜ!」
小さくて元気で明るい後輩と先輩かぁ。
Ra*bits、可愛いいし好印象かも。
