第1章 新しい学園生活
1-8.“よくある事”なんだぜ!
それは、迅速かつ一切の容赦もなく行われた。
「はしゃぎ過ぎだよ、家畜ども~♪」
「全員、静粛に! 生徒会執行部である!」
桃李と厳しそうな眼鏡の生徒がメガホンで宣言をする。
学院の許可のないドリフェスは校則違反、との事だ。
ライブを見ていたと思われる生徒の数人が、
生徒の拘束を開始する。
周りにも生徒会の生徒が潜伏しており、
逃げられないような包囲網が敷かれていた。
「えっ? なに? なにが起こってるの?
あれ、北斗と愉快な仲間たちは!?」
急変した状況に立ち尽くしてると、
右腕を誰かに引かれた。
「お? ね〜ちゃんどうして突っ立ってるんだ?
生徒会がああなるのは“よくある事”なんだぜ!
関わるなってに~ちゃん言ってたんだぜ!
つまりダッシュダッシュなんだぜ~♪」
「へっ?」
ニカッと無邪気に笑うのは、茶髪の生徒……光くんだ。
……身長がもっと低かったら小学生と間違えそうだ。
「だからー、ね~ちゃんもダッシュダッシュだぜ〜♪」
ダッシュ?
「わああああっ!?」
彼の言葉を理解するより先に、突然走り出した彼に、
右腕を引かれ、アタイは半ば引きずられるように、
校舎内へと引き戻された。
「ええっ!? ちょ、タンマ!
は、早い!」
幼い顔立ちとはいえ、流石男子高生。
やたら走るスピードが速く、
合わせる気がない彼にアタイの足が追いつく訳もない。
……ってゆーか並みの男子より早くね?
「そっか? うーんと、じゃあ、こうするんだぜ!」
ひょいっ。
いきなりブレーキをかけてアタイの前に出たと思うと、
彼は走るアタイの脚を器用に掬い上げ、
いわゆる“おんぶ”の姿勢に。
「こーすれば、2人でも速いんだぜ!
俺って、アッタマいい〜☆」
確かに速い。速いけど……。
「そういう問題なの!?
っつーか、アタイをどこに連れてく気!?」
「へっ?
えーっと……考えてなかったんだぜ!」
「それぐらい考えておこうよ!?」
行き先の分からぬ特別急行列車に乗せられたアタイ。
それ、拉致って奴だと思うんですけどぉ!
どうなるアタイ!
どうするアタイ!?
……北斗くん達は大丈夫だったかなぁ……。
心配を残して、特別急行列車は目的地へ。
「3年、B組……?」
なんでアタイはこんな所に来ちゃっんだろう……。
