第1章 新しい学園生活
1-4.お願いがあるんだ
「乗るよ! その自己紹介の波に……☆」
どこからかひょこっと現れたのは、
先ほど青フチの眼鏡がずれた、金髪の少年だ。
あぁ、その眼鏡を北斗くんにかけてみて欲しい。
そしたら他校に居るウチの彼氏に激似だ……。
「僕は遊木真っていうんだ、よろしくね!
ウッキ~でいいよ!」
「ウッキ~? お猿さん?」
「ふっふーん、ただのお猿さんじゃないよ。
明星くんには“トークの達人”って呼ばれてるんだから!
それに“放送委員会”に所属しているから、
ちょっとした情報通なんだ。
知りたいことがあったら僕に聞いてね!」
フレンドリーにウインク。
えへへ、なんだかチヤホヤされるのって悪くないかもぉ。
……そーいえば、彼もどこかで見たことあるような?
有名なアイドルが、この学園に通っているのは知ってる。
有名なFineの天祥院英智様や、
あのグラビアモデルの瀬名泉や鳴上嵐も、
この学園の生徒なんだって…!
真くんもどこかのテレビか雑誌で見たのかもしれない。
「じゃあウッキ~に引き続き俺も自己紹介☆
何度だって自己紹介するよ!」
「明星、お前はもういいだろう。
……?
ところでさっきからやたらと目があう気がするが、
俺の顔に何かついてるか?」
ギクリ。
隠すのもキャラじゃないので正直に暴露しておこう。
「えーとぉ……、実はウチの彼氏にめちゃ似てるなぁって。
眼鏡かけたら同一人物になるんじゃないって感じぃ?」
あ、真くんの眼鏡がショックで弾け飛んだ!
「えええええええぇー!?
佳代ちゃん、彼氏持ちだったの!?」
「ウッキ~失恋? いきなり失恋でハートブレイク?
元気出して! ビー玉あげるから☆」
「あぁ、そういうことだったのか。
なら俺は金平糖をあげよう。ドンマイだ、遊木」
「二人ともボケなのか本気なのか分からないよ!?
“トークの達人”の僕でさえキャパオーバーだよ!?」
ふぅん、なるほど。
この3人の掛け合いは漫才みたいで見てて楽しいかも。
「なんだか彼氏いなさそうな雰囲気だったから、
驚いちゃっただけだよ!」
……真くんは一発殴っておこうかな。
「佳代、遊木も悪気があったわけじゃない。
どうか落ち着いてほしい。
ところで突然だが佳代に一つ、お願いがあるんだ」