第1章 新しい学園生活
1-3.アタイに強請りが効くとでも……?
ホームルーム終了後、真っ先にアタイのもとに来たのは、
先ほど目があった黒髪の少年だ。
……と思ったらオレンジ髪の少年が割り込んできた。
「やっほ~☆ 君が噂の転校生だな!?
俺、明星スバル! 明けの明星にカタカナでスバル!
覚えやすいだろ~♪
せっかくだから仲良くしよう! 友だちになろう!
と、いうわけで、お金を貸してください……☆」
スバルくんしょっぱなからマシンガントークだ。
えっと、えっと、よく分からないけどお金を請求されてる?
「あ゛ぁん? アタイに強請りが効くとでも……?」
反射でドスの利いた声でガンを飛ばしてしまった。
ヤンキーやってたし、そーゆーのは得意だったりする。
“清楚”なんてなかったんだ。
さっきの失敗で諦めました。まる。
「おぉっと!
お金を貸してくれないタイプの女の子だった!
っていうか思ってたより怖い!?」
スバルが思わずのけぞると、
黒髪の少年がスバルの頭をガシっとつかみ、
アタイに頭を下げさせた。
まるで保護者のようだ。
「おい明星、非常識が過ぎるぞ
それに転校生、明星はバカで金の亡者で、
どうしようもないアホだが、
出来れば暴力は振るわないでくれると助かる」
……どうやら怖がらせてしまったようだ。
ここは怖くないイメージ付けの為、
フレンドリーに笑顔で接しないと……。
転校先で“姉御”になっちゃお話にならないんだしぃ。
「あ、呼び名は佳代でいいよー。
あと、アタイは別に怖い人じゃないからねぇ?」
「じゃあじゃあ、俺はカヨって呼ぶね☆」
「アンタにアダ名呼び許可した覚えはないんだけど。
……まぁ、勝手にすれば?」
「やったぁ!
ホッケ~、俺早速カヨと友だちになったよ!」
グイグイ迫ってくるスバルに呆れ混じりに許可を出すと、
跳ねて黒髪少年にハイタッチ……しようとして叩かれた。
この人達随分仲がいいんだねぇ?
「ホッケ~、じゃない。氷鷹北斗だ。
佳代には自己紹介がまだだったな。
このクラスの委員長をやっている。
困ったことがあったら俺に相談して欲しい。
よろしくな。」
「うんっ。色々とよろしくねぇ~」
この学園に来て二人目の常識人(一人目は椚先生)に、
なんとか出会えて胸をなでおろした。