第2章 動き始めた革命児
2-3.お姉ちゃんだと思って頼ってちょうだい♪
何この人、チョーうざぁい!
ムカついたらリスクを考え上で、
それでも感情が上回った場合、殴るタイプだ。
ちなみに現時点で、拳を握って殴る準備まではした。
「損害賠償って、怪我させたわけじゃないし……。
それに、もう謝ったじゃないですか。
普通、謝ったら“いいよ”っていうもんじゃないですか?」
「今回は運良く怪我がなかったってだけ。
ま、いいけど、次は絶対ないようにしてよね。
で、あんた2年? 敬意が足りなくない?
“いいよ”なんて言う義理もないしぃ?
謝れば済むなんて、勘違いするのも大概にしてよねぇ?」
あぁムカツク!
まさかこんな性格だとは思わなかった!
これ以上話しても、殴り合いになりそう。
もう、教室に戻ろう。
「あらあら? んまァ、こんな所に女の子なんて珍しい!」
踵を返そうとした時、ハスキーな声がかかってきた。
あれは……鳴上嵐くんだ!
泉先輩と一緒に香水の宣伝をしていた。
「それに、泉ちゃんと一緒なんて珍しいこともあるのねェ?」
……口調が想像していたのとだいぶ違う。
「うっわ、クソオカマ。3年生の教室まで何か用?」
「んもう、ツレないわねェ!
椚センセェからKnightsの書類を預かってきたのよ。
……で、この子は?」
明らかに邪険な態度をとる泉先輩にも笑顔で書類を渡し、
嵐くんはあたいに首を傾げた。
「プロデュース科の名生佳代です。
さっき、泉先輩にぶつかっちゃって……」
言うと嵐くんは困ったように眉尻を下げて笑った。
「なるほどね、それで泉ちゃんを怒らせちゃったのねェ?」
「ちょっと、勝手に訳知り顔しないでよねぇ。
現場も見てなかった癖に……。
もういいよ、俺は教室に戻るから」
ふいっと不機嫌そうに泉先輩は3年A組の教室へ。
あそこには近づかないようにしよう。
「泉ちゃんがごめんなさいねェ。
あんまり気にしないでね?」
「うん、ありがとうございます。
正直助かりました」
いいのよォ、敬語なんて。
嵐くんは気さくに笑った。
「しかしこんな男子校で一人だけ女の子じゃ何かと大変よねぇ?
アタシは鳴上嵐。
困ったときはお姉ちゃんだと思って頼ってちょうだい♪」
泉先輩と対称的に滅茶苦茶いい人だ!
但し、オネエだけど!