第1章 新しい学園生活
1-14.強姦魔ー!?
「佳代、具合は大丈夫か?」
「それ、さっき俺が聞いた。
先生も眼を覚ましたら帰っていいって言ってたぞ?」
北斗くんは本当に放心していたらしい。
真緒くんたちとの会話は何も覚えていないようだ。
「なぁ……さっきの話、聞いてたか?」
「なんの事?」
ピンときた。
夢の中で夢ノ咲学院が云々って話だ。
……でも鮮明には内容を覚えてない。
なんとなく気まずい理由は、そこにある気がする。
ただ、半端な記憶で場を掻き回してもしょうがないし、
ここはとぼけておく事に。
「いや、なんでもない。気にしないでくれ。
……そうだ。もう放課後だが、
知らない道で大変だろう、駅か近所まで送るか?」
「うぅん、大丈夫。
今日は母さんに迎えに来てもらうから」
そうケータイを出すと、
北斗はほっとしたような表情になり、
また、なにやら険しい表情になった。
「……そうか。
また、明日……いや、なんでもない。
今日は無理につき合わせて悪かったな」
途中で言葉を切って、
北斗くんはかばんを持って立ち上がってしまった。
彼は、彼の中でずっとグルグル考えるタイプみたいだ。
アタイからもいいたい事あるなら何か言ってほしいが、
今日知り合った仲だし、雰囲気的に聞き辛かった。
「お、おい、北斗!?」
「衣更殿、待ってほしいでござる~!?」
北斗の後を追って真緒くんと忍くんも立ち上がって、
保健室から出て行く。
「あぁ、転校生、じゃあ後は自力で帰れそうか?
保健の佐賀美先生は職員室にいるから、
帰る前に寄っていくといいと思うぜ。」
「アタイはもう大丈夫。みんな、ありがとうねぇ」
三人に手を振る。
みんなが出て行ってアタイは保健室に一人。
……さて、お母さんに迎えの連絡しないと。
ケータイの画面をじっと見ると、
北斗くんのあの神妙な表情を思い出す。
……枕元で、何を言ってたんだろう……。
率直にどうしたのか聞いたほうがよかったかなぁ?
「なにやらお悩みの様子……☆」
今からでも北斗くんに電話かけて……えっ。
すぐ後ろ、耳元で見知らぬ人が話しかけてきた…!?
「ひゃあぁぁっ?!?!」
一拍遅れて、ベッドから転げ落ちる。
……と思ったら姫抱きにされていた。
「Amazing! 素晴らしい驚きっぷりです!」
「強姦魔ー!?」