• テキストサイズ

あんさんぶる!

第1章 新しい学園生活


1-12.いくらなんでも話が長い。



ゆっくりと浮上する意識の中、声が聞こえる。

「佳代。
 すまなかった。
 勝手な期待を押し付け、騒動に巻き込んでしまった……」

くどくど、くどくど、くどくど。

「ここは『理想のアイドル』のための学び舎だ。
 それは学院が規定する、従順で人間味のないアイドルだ」

彼の言葉を枕に、アタイはうたた寝をしていた。

「だが、それでは俺達の心はどうなる?
 『よい』と思ったものに票を入れるのが悪いことか?
 『前にならえ』でなければ『劣等生』の烙印を押される。
 夢や心は腐敗していくしかない……」

くどくど、くどくど、くどくど。

「俺達は、そんな現状を打破し変えたい。
 まだ何ができるかは分からないが……」

寝ながらでも分かる程度には、ものすごく長い話だ。
一番最初に校内の案内をかって出てくれた北斗の声だ。

何を話しているのか、頭がぼんやりしてよくわからない。
お経か何かのようだ。
退屈な授業の先生の声のように、
あたしを柔らかくぼんやりとした世界に包み込んでくれる。

「北斗、いくらなんでも話が長い」

もう一つ、別の声が降ってきた。
睡眠モードに入っていた意識が、また浮上を始めた。

「お前はどうも長い考え事とか、
 長い話をする癖があるみたいだけどよ。
 あんまり過ぎると副会長みたいになっちまうぞ?」

……誰の声だろう?
聞いたことがある声だ。

「衣更殿ぉ~!
 そんなことより、えぇーっと……佳代殿の容体は!?
 大丈夫でござるか!? 死なないでござるか!?」

今度は知らない声だ。
結構大きな声だ。
あたしは薄っすらと目を開け……。

「衣更殿、それは本当でござるか!?
 命に別条はないでござるな!?
 良かったでござる~!」

「んうぅぅううぅぅ……っ!?」

感動のあまりかどうかは知らないが、
思いっきり揺さぶられた。
頭が痛い。
この仕打ちには目を覚ますしかなかった。

「命に別条はないったって、佳代は怪我人だぞ!?」

「あぁっ! 佳代殿、すまないでござる!」

身体を起こすと、
居たのは北斗、真緒……謎の忍者っ子だった。

「……あんた、誰?」

「拙者、仙石忍でござる。こう見えて、忍者でござるよ!」

吸血鬼に引き続いて、これまたキャラが濃い少年の登場だ。
/ 22ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp