第13章 番外編「松野家崩壊の危機」【トド松side】
「ふぅ、もうこれでいいかしらね。母さんは三人も取ったし、後は父さんに頼んで扶養してもらいなさい」
扶養家族に選ばれなかったカラ松兄さん、チョロ松兄さん、十四松兄さんはこの世の終わりのような顔をしている。なんだかちょっと可哀想に思えてきた……。
すると、黙ったまま部屋の隅にいた梅子ちゃんが動き出した。
『余所者のわたしが口出しするのは失礼かもしれないんですけど、こんなの間違ってると思います! 事情は知りませんが六人とも扶養家族にしてあげてください!』
「え……でも、」
『わたしも働いて稼ぎます! お願いです、わたしは六つ子と、みんなと離れたくないんです! おそ松くんとトド松くんと一松くんだってそうでしょ!? 大事な片割れが離れたら寂しくないの……?』
梅子ちゃんが涙を零しながら僕達に訴えかける。
大事な片割れ……そうだ、僕達は六つ子。
俺がアイツで僕達が俺
「梅子ちゃん……」
「僕も、本当は……本当は離れたくないよぉ」
「……俺も」
その様子を困った顔で見ていた母さんが諦めたように息をつくと「わかったわ、もう止めましょう」と言った。
僕達は喜んで嬉し涙を流して抱き合った。
『ありがとうございます』
梅子ちゃんは母さんに向かって頭を下げた。
「良いのよ、どうしようもないニート達だけどやっぱり私にとっちゃ可愛い息子達なの。選ぶことなんてできないわ」
「さて、父さんと仲直りしてこようかしら」と母さんは部屋を出て行った。