第10章 酒は飲んでも飲まれるな【チョロ松side】
梅子side
朝目覚めると、いつも通り布団に寝ていた。
確か、わたしは昨晩おそ松くんと……き、キスしちゃった……っ。
羞恥がこみ上げて、思わず枕に顔を埋めた。微かにおそ松くんの匂いがするのはやっぱり夢じゃなかったんだと感じさせられて胸がギュッと締め付けられた。
おそ松くんと顔を合わせられないよぉ……!
同じ屋根の下で暮らしている以上、避けることは不可能に近く、六つ子達が朝食の時間に起きてきた。
「グッドモーニング、いい朝だな」
「おはよう、梅子ちゃん」
「……はよ」
「おはよーマッスルマッスル!!」
「梅子ちゃんおはよっ」
『カラ松くん、チョロ松くん、一松くん、十四松くん、トド松くんおはよう!』
おそ松くん以外の兄弟と挨拶を交わした。どうやら、おそ松くんはまだ起きてないのかな?心配に思ったけど、今は会いづらいからちょっとホッとしてしまった。
と、その時だった。
「ふぁ~、寝みぃ。まだ寝たんない~!!」
『っ!?』
おそ松くんだ……!後ろにいて気づかなかった!おそ松くんは眠いのかアクビをしながらこちらに歩いて来る。そして目が合った。
「梅子ちゃん……おはよ~!今日も可愛いね!」
『……お、おはようっ』
小さな呟く声で名前を呼んだかと思えば、いつものおそ松くんに戻って話しかけてきた。や、やっぱり普通になんてできない!そう思ったわたしはおそ松くんから目をそらして挨拶を返した。
そんなわたしに何も言わず、朝食の置かれた机へと歩き出すおそ松くんの背中は少し悲しそうに見えて、また心が締め付けらた。
梅子side 終わり