第8章 一松と仲良くなりたい
「ねぇねぇ、今一人?」
結局パパを探しにあちこち探し回ったものの、見つからず、帰る家すらないため、宛もなく街を歩いていると一人の若い男性に声をかけられた。
『えっと……あ、はい』
「今から食事とか行かない?俺が奢るからさ!」
『え?でも、そんな悪いです……』
しかも知らない人とご飯なんて、気まづいよ……。
さり気なく断ったものの、男性は諦めなかった。
「ご飯食べながらお話しようよ、友達になりたいんだ」
友達ならいいかな?それにお腹も空いてるし……。わたしは欲に負けた。
『それなら「人の女になに手出してんの?殺すぞボケ」』
それなら良いですよと言いかけた返事は後ろからかけてきた声によって遮られた。
『い、一松くん!?』
「ひっ、すみませんでしたー!」
男性は一松くんに睨まれると逃げていった。
どうしてここにいるの…?しかも頬が赤く腫れている。呆然と一松くんを見つめていると、一松くんと目が合った。
「馬鹿なの?付いていこうとしたよね……あんたあの男に喰われたいの?」
『ご、ごめんなさい……』
逃げていった男性のように冷たい視線で睨まれる悲しさから、目に涙が浮かびはじめる。
「チッ……こんなこと、言いたいわけじゃない。ただ言いすぎた。……ごめん」
一松くんが謝ってきたことに驚いたが、すぐに、
『一松、くん……わたしも、わたしもごめんね!』
と言ってにっこり微笑んだ。
「は?あんたが……"梅子"が謝る必要なんてないし」
一松くんはそう言って顔を背けてしまった。
一松くんが名前、呼んでくれた……!嬉しくてもう一度呼んで欲しいとねだった。
「……梅子」
ボソッと、でもちゃんと名前を呼んでくれた。
『ありがとう、一松くん!』
嬉しさが爆発してしまい、ついつい一松くんに抱きついてしまった。
「っ!?☆&△§〇」
一松くんはパニックになって、意味不明な言葉を発すると気絶してしまった。起きたらまた謝らなくちゃ……。
意識のない一松くんをわたし一人ではどうすることもできないので、トド松くんに連絡しようと携帯を見て着信とlineの通知の数に驚いた。他のみんなにも謝らないとね……。
でも、ようやく六つ子全員と仲良くなることができました!
***
ツンデレ一松。