第8章 一松と仲良くなりたい
一松side(ちょっとシリアス気味)
いつも思ってもいない事を言って他人を傷つけてしまうから、それならもういっその事関わらない方がいい。ーー本当は、人と関わるのが怖い。
別に、仲良くなんてしたくない。ーー仲良くしたい。
みんな仲良し、みたいな能天気な考えの奴見てるとイライラする。ーー俺に話しかけてくれて嬉しかった。
別に、言ったことなんて後悔してないし。ーーどうしてあんなこと言ってしまったんだろう。
まぁ、すぐに帰ってくるんじゃない?ーー帰ってきて。
おそ松兄さん達が帰宅したのは梅子が出ていった2時間後だった。
「あれ……俺の嫁がいない!!」
「いや、嫁じゃないでしょ!でも本当だ、いないな」
おそ松兄さんの声にチョロ松兄さんがツッコミを入れる。
「一松兄さん、梅子ちゃんどこ行ったか知ってる?」
トド松が俺に聞いてきた。だから正直に答える。
「さぁ。俺が出ていけって言ったら出ていった」
その言葉に兄弟全員が俺を見る。
ああ、怒ってる……。
おそ松兄さんなんかとてもわかりやすい。いつもヘラヘラしてるくせに怒ると真顔だし。十四松も普段焦点があっていないのに、真っ直ぐ俺を見つめてくる。
「カラ松、お仕置きしておいて。俺達梅子ちゃん探してくるから」
おそ松兄さんがそう命じるとクソ松以外の兄弟は家を出ていった。
「一松、俺はお前の事を大切な兄弟だと思っているが、梅子ちゃんにしたことだけは許せない。だから少しだけ我慢してくれ」
そう言ってから殴られた。
馬鹿力なクソ松の拳はけっこう痛かったが、悪い気はしない。もっと殴ってもいいのに……。クソ松は一発だけ殴って、「すまない、もう二度と梅子ちゃんを傷つけるようなマネはするな」と言って家を出ていった。
こういう時だけ、厨二病が抜けて真面目な兄さんに戻る。だから俺はクソ松が苦手だ。
重い腰を上げて俺も梅子を探しに家を出た。