第8章 一松と仲良くなりたい
トド松くんが出かけて一時間が過ぎ、残りの六つ子が起きてきた。ちゃぶ台に朝食を運びながら、挨拶を交わす。
「梅子ちゃん、おはよー!今日も可愛いね~」
『おそ松くんおはよう、眼科予約しとくね!』
「え……?」
寝ぼけてるだけだと思うけど。そんなんじゃいろいろ誤解されちゃうぞっ!って言いたい。言えないけど。
「梅子ちゃん!おはようございマッスル!マッスル!」
『ぐふっ』
「おい十四松、ずるいぞっ!」
十四松くんは相変わらずわたしと会うと突進してくる。お腹に頭をグリグリと押し付ける。正直苦しいけど、可愛い。なんか癒される。そして十四松くんの頭をなでていると、おそ松くんが拗ねたような顔をして「俺もなでて!」って擦り寄ってくる。ふれあい動物にいるような感覚。でも嫌じゃない。
「グッドモーニ「ウザいクソ松」ぐほぉっ!」
『あ、カラ松くんと一松くん、おはよう!』
一松くんに殴られたカラ松くんは床で伸びていた。何があったんだろう……。
「……はよ」
一松くんが小さくボソッとだが応えてくれたことに嬉しくて微笑むが、プイっと逸らされてしまった。(´・ω・`)ショボ-ン
一松くんは六つ子の中で一番口数の少ない人だなぁと、ここ数日一緒に過ごして思った。みんなと同じ部屋にいても、部屋の隅で丸くなってぼんやりしているか、猫と戯れているかしかまだ見たことない。けれども、どこか寂しそうに見えるのはわたしの気のせいなのだろうか……?
それから朝食をもぐもぐ食べた六つ子は、それぞれ支度をすると出掛けてしまった。
……一松くん以外は。
部屋にはわたしと一松くんの二人だけ。部屋の隅で膝を抱えてこちらをじーっと見つめる一松くん。視線がとても痛いです。でも、これって仲良くなるチャンスかも!思い切って話しかけてみよう!