愛玩人形になるまで【DIABOLIK LOVERS】完結
第3章 彼の思惑、彼女の選択
✳︎血の表現あり(苦手な方注意)
ユイの部屋に入ってキャンディが見たものは……。
『ユイちゃん、ユイちゃ……え、カナト……?』
二人はナニシテルノ……?
そこには、ベッドでユイを押し倒して、血を吸っているカナトと、顔を歪め痛みを耐えているユイの姿があった。
ユイは名前を呼ばれて、はっとして目を開くと、虚ろな目でこちらを見つめているキャンディがいた。
「キャンディ、ちゃん……!」
『……』
「っ、カナト、くん……。」
慌ててカナトを離そうと暴れるが効果はない。カナトもキャンディに気づいてるはずなのに、止めようともしない。
まるでそこにキャンディがいないかのように……。
キャンディは耐えきれずその場から逃げ出した。
そして、キャンディが去ってようやくカナトがユイを解放する。
「カナトくん、キャンディちゃんが……!」
「僕がキャンディに気づかないわけないでしょう?馬鹿なんですか」
「でも、だったらどうして……あんな酷いこと」
「酷いこと……?そんなことはありませんよ。あれは、キャンディが僕のものになるための賭けです。僕しかキャンディに話しかけることができないのだから、僕に依存するキャンディが取る行動は一つしかないでしょう。ねぇ、テディ?」
"きっと彼女は僕の思惑通りに行動する"
そう言って不気味な笑みを浮かべた。
口元を真っ赤な血で染めながら……。
逃げ出したキャンディは部屋へ篭っていた。
わたしにはカナトしかいないけど、カナトにはユイちゃんもいる。
あの光景が頭から離れない。涙が止まらない。
わたしにはカナトだけなのに……。
カナト、カナト、カナト……。
ねぇ、わたしだけを見てよ……。
ぎゅっと爪が食い込むほど握りしめていた手から真っ赤な血が流れ落ちた。
『血……』
キャンディは自分の血をじっと見つめる。
『ああ、そっか……わたしにも血がある……ふふ、カナトにあげたら喜ぶのかな……?』
楽しそうに笑いながら、引き出しからカッターナイフを取り出す。
『待っててね、カナト』
そう呟くと、一気に刃を振り下ろした。