愛玩人形になるまで【DIABOLIK LOVERS】完結
第2章 彼、彼女の日常
(ユイside)
キャンディちゃんはカナト君と名残惜しく別れた後、私と一緒に教室へと向かった。
『ユイちゃん、ユイちゃん』
「キャンディちゃん、どうしたの?」
『あのね、カナトが、お利口にしてたら誉めてくれるって!だからわたし頑張るの!』
「そうなんだ、良かったねキャンディちゃん!」
キャンディちゃんは嬉しそうにニッコリと笑うと、スキップをして教室へと入っていく。
この会話も毎日のように交わしているけど、キャンディちゃんは私が毎回同じ言葉を発しても嬉しそうに笑う。
本当はもっとキャンディちゃんとたくさんお話したりしたいけど、逆巻家にはおかしな規則がある。
その一、カナト以外キャンディには気安く話しかけないこと。
但し、キャンディから話しかけてきたときは会話をしても良い。
その二、キャンディの血は吸ってはいけないこと。
その二は私には関係ないことだけれど、明らかにその一が異様であると分かる。
そして、カナト君以外の皆はそれを守っているようで、キャンディちゃんに話しかけようとはしない。キャンディちゃんは多分、この規則を知らないと思うけど、気にする様子はない。
例え、クラスの子、先生からも話しかけられなくても。
一度その規則を知らなかった私は、キャンディちゃんに話しかけて、大変な目に遭ったことがある。
そんなことがあったせいか、カナト君は今でも私にあの目を向けてくるのだ。もう慣れてしまったけれど。
キャンディちゃんにとってカナト君が絶対であり、逆らうことはともかく否定しようともしない。生きた人形のようにも見える。
けれど、私にはキャンディちゃんがカナト君に執着しているよりも、カナト君の方がキャンディちゃんに執着しているように感じられる。
将来のキャンディちゃんはどうなってしまうのか、考える度に心配になってしまった。