愛玩人形になるまで【DIABOLIK LOVERS】完結
第2章 彼、彼女の日常
逆巻家には現在六人の兄弟と女の子二人が同居していた。
女の子の内の一人であるキャンディは、家が近いのだが、とある事情で一緒に住んでいる。
そんな彼らはまだ学生で、夜間学校へと通っている。
今まさにリムジンで学校へと向かっている最中である。
『カナト、カナト、カナト……』
「どうしたんですか、キャンディ」
隣に座っているカナトの裾を引っ張りながら彼の名前を呼ぶ。
彼は目を合わせて答えてくれる。
嬉しい……彼の目に今日もちゃんとわたしは写っている。
嬉しくて、もっと見て欲しくて、袖を掴む手に力が入る。
『カナトと離れるの寂しい……離れたくない』
キャンディとカナトは別々のクラスである。
例え学校だろうと、カナトと離れたくない。
縋るような目でカナトを見つめる。
「ちゃんとお利口さんにしてたら誉めてあげますよ」
カナトは可愛らしい笑みを浮かべる。
「それに……キャンディにはユイさんもいるし、ね?」
意味深な言葉を含め、チラリとユイがいる後ろの席を見る。
その目はキャンディに対する優しい目ではなく、嫉妬の含んだおぞましい目だった。
『わたしお利口さんにする!頑張る!』
カナトが、わたしがお利口にしてたら褒めてくれる……褒められたい、寂しい気持ちは変わらないけれど、頑張る。
先ほどとは打って変わって、嬉しそうな表情を見せるキャンディ。
そんなキャンディとカナトのやり取りを周りの兄弟やユイは、さも当たり前かのように誰も気にとめる様子はない。
それもそのはず。
このやり取りは毎日のようにこの車内で行なわれるのだ。
一番まともなユイでさえも、この日常やカナトからのおぞましい目にも慣れてしまっていた。
ーー
ついに二作目に手を出してしまいました。
ドラマCDを聴いていたらこのシナリオが思いつきました(笑)
多分短めに終わると思いますが、読んでいただけたら嬉しいです。
では、次回で会いましょう!