第4章 歯車を狂わす者
エレンとリオの仲睦まじい姿にいい顔をしない人物……佐倉美瑛。可愛らしい顔立ちを利用して今までに落とした男は数知れず……。この間までエレンのセフレだったのだ。
エレンと知り合ったのは高校に入ってすぐに、美瑛が一目惚れしたのだ。背が高く、どこか色気が漂って危うさの感じる彼に夢中になった。だけど美瑛はエレンと同じクラスではなく、接点すらなかった。
そんなある日、美瑛を慕っている男達からある噂を聞いた。
「美瑛ちゃん、エレン・イェーガーって知ってる〜?」
「もちろん、彼がどうかしたの?」
「最近、色んな女連れて遊んでるって話だぜ」
「美瑛ちゃん可愛いから狙われねぇように気をつけないとダメだぜ?」
「へぇ……そうなんだ」
美瑛はにっこりと笑った。
"これはチャンスかもしれない"
男達の話す言葉はもう美瑛の耳には入っていなかった。
それから、美瑛はエレンとの接触を始め、セフレという関係まで築き上げた。エレンは一回その人と寝たらそれっきり、という噂に対して美瑛だけは違った。始めは優越感に浸っていたが、いつしかセフレだけでは満足できなくなっていた。
"今日でお前とも終わり、じゃあな"
いつものように携帯で呼び出され、空き教室に向かうと、エレンに言われたのはさよならの言葉だった。
「待ってよ、エレン!わたしこの関係を終わらせたくない!!」
やっと大好きなエレンと関係を持てたのだ、終わらすことなんてできない、と美瑛は教室を去ろうとするエレンの腕を掴んだ。
「……好きな奴がいる。だから俺はけじめをつける」
エレンは振り返ることなく静かに言うと、掴まれている腕をやんわりと外して、去って行った。
美瑛は泣きもせず、可愛い顔を歪ませて拳をギュッと血がにじむほど握りしめていた。
美瑛の頭の中にはエレンの想い人を見つけ、関係をぐちゃぐちゃにしてやるという考えしかなかった。
それからリオとエレンの出来事があった日の放課後。
「白崎君、ちょっとお話したいことがあって……」
人当たりの良い顔を貼り付けて美瑛はリオに話しかけた。
〜〜
泥沼な展開になりそうです。