第6章 忍び寄る影
二、三日が経った頃、エレンと佐倉美瑛が付き合っているという噂が広まった。
僕はその噂を聞いた途端、教室を飛び出し、誰もいない屋上で泣いた。
またあの頃のように笑いあえるだけで良いと思ってた。
でも違った。
エレンが付き合ったと聞いて心がズキズキと痛んだ。
僕はエレンが好きなんだ。
気づくのが遅すぎたよね。
「リオ……」
「噂なんて気にしないで」
僕の後を追って、アルミンとミカサが来た。
「……」
二人には申し訳ないことばかりだけど、今の僕には何も響かない。
生きた心地がしないんだ。
「昔さ、みんなでここでご飯食べたよね」
アルミンがぽつりと言った。
僕もミカサも驚いてアルミンを見ると、アルミンはにこりと笑った。
「……そうね、リオが口の周りにご飯粒付けてて、エレンが取ってた」
ミカサも懐かしそうに笑った。
「ちょ、ちょっと、そんな恥ずかしいこと思い出させないでよ」
僕は恥ずかしくなって顔を手で隠す。
そんな僕を見て二人はクスクスと笑う。
でも、あの頃は本当に楽しかったな。
少しだけ、心が軽くなったような気がする。
「二人とも、ありがとう」
感謝を込めて、僕は笑った。
楽しいときはあっという間で。
その日の放課後、僕は運悪く佐倉さんに出会った。
今二番目に会いたくないのに……。
一番はエレンだけど。
僕は気づかないふりをして佐倉さんの横を通り過ぎようとした。
それなのに。
「ねぇ、ちょっと話があるの」
佐倉さんは僕の顔を見つめて言った。
その顔はいつもの笑顔ではなく、強張っていた。
嗚呼、帰りたいなぁ……。
どうせ、エレンのことで僕に色々言いたいんでしょう?
僕の醜い心がとめどなく溢れ出してくる。
けれど、断ることができない僕は、仕方なくうなづいて佐倉さんについて行った。
それが罠だとは気付かずに……。
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お久しぶりです!私生活がとても忙しくなかなか更新できませんでした!涙
少し執筆の仕方を変えました。
なので違和感がある方もいらっしゃるかと思いますが、全編書き直していきますのでご了承願います!
次回いつ更新できるか分かりませんが早めにできるよう頑張ります!