第6章 忍び寄る影
(アルミンside)
エレンへの恋心にようやく気づいたリオ。
僕とミカサはこの時を待っていた。
まぁ、二人がくっつくことが一番の願いだけど。
あれ以来、リオはエレンに近付こうと毎日頑張っている。
今日だって。
『エ、エレン……』
朝、相変わらず女の子達を引き連れて歩いているエレンに近付いて行って名前を呼ぶリオ。
「……」
エレンもリオを見た途端、方向を変えて逃げようとする。
でもリオがエレンの名前を呼ぶと足が止まった。
「おはよ……っ」
リオが勇気を出してエレンに挨拶するが、再び歩いて行ってしまったエレンには果たして届いたのだろうか。
残されたリオに、周りは好奇の目と心配そうに見つめる人がいた。
僕らはただ見守ることしかできなかった。
『くっ……う、うぅ……ぐすんっ』
昼休み。最近はずっとこうだ。
エレンに避けられる日々のリオは、昼休みになると、張り詰めた糸が切れたように泣き始める。周りの目も気にする余裕もないほどに。そんなリオを心配そうにクラスのみんなは見つめていた。
エレンといえば、授業は受けているものの、昼休みになるとすぐさまどこかへ行ってしまう。
僕らでさえもエレンと会話をするどころか、全く接触しなくなってしまっていた。
そんな時、クラスメートのサシャが僕とミカサに話しかけてきた。
「この間の放課後の話なんですが……」
この話に浮上する人物がとんでもないことをしているなんて、僕らはまだ知る由もなかった。