第5章 気づいた恋心
教室に入ると凄まじい視線を感じる。その正体は、鬼のような形相をしているミカサと心配そうにこちらを見つめるアルミンだった。
『お、おは「リオ、エレンと何があったの」』
ぎこちなく挨拶を口にしたがミカサに遮られてしまった。
顔が怖い……ミカサ怒ってる?
「ミカサ、そんな怖い顔しないで。リオおはよう」
『おはよう、アルミン……ミカサ』
「おはよう……昨日エレンと何かあった?」
アルミンが宥めてくれたおかげでミカサの顔はまだ強張っているが、口調は優しかった。
『あのさ……』
昨日の出来事をポツリポツリと二人に話した。
『最後にもう俺に関わるなって……さっきも廊下で会ったけど無視されたし……僕もうエレンに嫌われたのかな?』
鼻の奥がツンとする。ダメだ、泣いちゃいそう。
「リオはエレンにキスされてどうだった?」
アルミンが真顔で問う。
『っえ!?』
唐突な質問でリオは赤面してしまう。
なんでいきなりその話に……。
「嫌な感じ、した?」
『え、と……。嫌、とかではなかったけど……びっくりした。なんでキスしたのか考えるだけで、胸が痛くなって、さっきも無視されたときもズキズキと痛むんだ。これって病気かな?』
「よかった。私は安心した」
ミカサはホッと息を吐く。
『へっ???』
「おめでとうリオ。それは"恋"だよ」
アルミンが天使のように微笑んで言った。
『恋……?僕がエレンに恋……?』
途端に体に熱を持ち始め、真っ赤になる顔を手で隠し、しゃがみ込んだ。
僕はエレンに恋してるんだね……あれほど考えても分からなかった答えがようやく見つかった。
「気づくのが遅い、馬鹿リオ」
ミカサが怒りっぽく言うと、しゃがみ込んでいるリオの頭を優しく撫でる。
アルミンも温かい目で見守っていた。