第5章 気づいた恋心
翌日。
昨日の夜眠れないままで朝が来てしまった。上履きに履き替えていると、ふと気になって他の靴箱を見てみる。既にエレンの靴があった。あと、ミカサとアルミンのも。
"明日から俺に関わるな"
その言葉に胸が張り裂けそうな程ショックだったけど、それ以上にエレンの表情は辛そうだった。
なんで……?
考えれば考えるほど辛くなって、明日には普通に「おはよ」って話せることを願っていたんだ。
けれど、現実は違った。
教室に向かうため、廊下を歩いていると、前からたくさんの女の子を連れたエレンが歩いてきた。
『!……あっ』
エレンと一瞬目が合ったが、ふいっと直ぐに逸らされてリオの横を素通りした。胸が高まったと思ったらすぐに地獄に叩き落とされたかのような気分になった。
胸が苦しいよ……。
すると、エレンの取り巻きの一人がこちらに顔を向けて舌をべっと出してニヤリと笑った。
「佐倉さん……」
僕はますます落ち込んで、とぼとぼと教室を目指した。