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残り30センチの距離【進撃の巨人】※更新停滞中

第4章 歯車を狂わす者


今日も疲れたなぁ……としみじみ思いながら、荷物を取りに教室へ足を踏み入れた。

いつも授業が終わると、部活やら帰宅やらでみんなはそそくさと教室から出て行く。当然今も誰もいないと思っていた。

……否、居た。

『エレン……?』

彼は僕の席で今朝のように机に顔を伏せていた。

「……おせーよ。なにしてたんだ」

エレンは顔を上げることなく言った。

いつも一緒に帰る約束をしてるわけではないから、エレンはもうとっくに帰っていると思ったんだけど、どうやら違ったみたいだ。
ちなみにミカサとアルミンは、いつも気がつくと既にいない。

待っててくれたのかな……?ちょっと嬉しいかも!

『ごめんね!ちょっと立ち話してたんだ。あ、それとエレンに言いたいことが……』

言葉は、突然音を上げて立ち上がったエレンによって遮断された。

「誰と立ち話してた、答えろ」

エレンがとても怖い顔で近づいて来るので、反射的に僕も一歩ずつ後ろへ下がってしまう。

え、え、なんか、怒ってる……!?

繰り返していくうちにとうとう壁に背中が当たった。

ギクリとしてエレンを見上げると、大きな目で睨みつけられる。

……なんで怒ってるんだろう。

エレンは、僕の顔の横に手をついた。

『お、落ちついてエレン!僕は君の彼女に……』

「彼女……?いねぇよそんな奴。お前、まさか俺に彼女がいるなんて噂信じてんのか?」

なんとか機嫌を直そうと言葉を発するが、逆に火に油を注いでしまったみたい。

どどど、どうしよう……!

『え、でも……』

「へー。リオ、お前は俺が何も言った事より他人の言葉を信じるんだな」

呆れるというよりも、軽蔑されているように聞こえて、僕は肩を震わせた。

違う、そういうわけじゃない……!!

「もういい、どうでもよくなった。お前には俺の気持ちなんて一生分かんねぇよ!」

『ごめん、エレっーー』

僕が謝ろうと口を開いたとき、エレンの顔が近づいて……キス、された。

驚いて固まる僕。エレンの表情は前髪に隠されて見えなかった。

エレンは触れるだけのキスをすると、近くに置いてあった自分の荷物を持って出て行こうとするが、扉の前で立ち止まりリオを見据えると、"明日から俺に関わるな"と言って去って行った。

残された僕はキスされた唇に手を当てて唖然と立ち尽くしていた。
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