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Trajectory of light

第3章 〜これがあいつとの〜




紅朶side


気付くべきだった。



自己紹介の時にバスケ部志望の人が
異常に多く、その度に周りから

「さすが」
「ここ つえーもんな。」


というような声が掛かっていた時に
気付くべきだったのだ…。




退屈な入学式を終えて

放課後は部活見学の時間だ。



体育館の入口、俺は目を疑った。

『う、わ…』



「おい、お前早く中入r



『さーせん!』


え、はぁ!?」



俺がその場に土下座するのも無理はない。


目の前に広がる光景は俺の思っていた
ほのぼのとした部活の雰囲気など皆無。

まぁよく考えてみたら
運動部というところからほのぼのはあるわけ…



『なかった!!』


「ちょ、は?
さっきから何言って…
と、とりあえず立てよ目立つ!」



さっきから頭上で声がする。



床に擦りつけていた頭を上げてみれば
そこには、黒髪の男が立っていた。



『…すいません。』


真顔でスクッと立ち上がる。


目に映る体育館で汗水を流していた部員も

見学に来ていた同級生も

皆が皆、視線はこちらに向いている。


大きい声出しすぎたかな…
て、照れる…←


…でも…


この後無言で立ち去れば
ただの変人で事が済まされてしまう。

(既に変人。\_(・ω・`)



後にバスケ部に入るということを考えると…



『…お、おす!
俺は今日入学した1年の火神 紅朶!
よろしく!!』


体育館に響きわたる自分の声が小玉し

そして痛い静寂が訪れる。


その空気には
さすがの俺でも辛かった。



『き、君の名前は!?』



俺は耐えきれず、
咄嗟に隣にいた黒髪に振る。



ああぁ、巻き込んでごめんな!?

謝るからそんな嫌っそうな顔しないで!?



「……虹村 修造、だけど…」


『よろしくな!』


強引に握手をする。


すると、近くにいた1年生達から
次第に笑いが広がっていった。


「「…あははは!!」」
「おもしれー!」


よ、良かった…

体育館が笑いで包まれる。


そしてその後俺は虹村君の手を取り
マジバへと逃げたのだった。



入学初日。


静寂に包まれた体育館で大声で自己紹介をし合った俺達は、一躍有名になったのであった。




そしてこれが…アイツとの出会いだった。
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