第2章 〜プロローグ〜
紅朶side
プルルルルル…ッ
《 「…もしもし」 》
家電に掛かってきた電話に出ると
電話の向こうでどこかソワソワし
ふてくされたような声が聞こえた。
『大我か!どうした?』
《「どうしたもこうしたも…
兄貴、明日中学の入学式だろーが。」》
こうして大我と電話するのも久しぶりだ。
でもだからこそ、
なぜ電話してきたかが分かった。
『そうだけど…あー…、
心配しなくてもバスケやるぞ?』
《「はぁ!?別に聞いてねーだろ!」》
電話口で怒鳴られると耳がキーンとする。
『はは笑 それ聞きたかったんだろ?
大丈夫だって!お前が高校来たら出来るよ。』
《「…おう、それじゃ。」》
『うん』
プッ、ツー、ツー…
弟にバスケが楽しいという話は電話で聞いていた。
俺もこれと言って特に入りたい部活はなかったから
『じゃ、バスケ部に入るよ。 』
と前に軽いノリで言ったのだが…
忘れていると思ったのだろう。
わざわざ電話までしてくるとは…
一応、バスケは小学校の授業で触れたことがあるし
高校まで続ければ…。
『楽しみだな…』
早めに布団に潜り、俺はそう呟いた。
まぁ、そんな甘い考えもそう長くは続かなかったのだが。