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テニプリ短編小説

第1章 忍足侑士


「そうなりますね…」

「そうか…なら明日も一緒に行かへん?」

「侑士先輩がいいならよろしくお願いしたいです。」

うまく吊り革を掴めへんようで、まだ俺の背中掴んどる。せやけど揺れたら危険やから俺の腕になまえちゃんの腕を絡ませた。恋人みたいやな…まだ1年なんて子供やと思っとったのに笑顔に惚れそうになっとる自分がおる。ふと部活見に来てほしいなんて考えとったが、帰りは迎えがくるんやろうか…

「なまえちゃん」

「なんですか?」

「帰りはどうするん?」

「これないと思います…」

「じゃあ俺と帰らん?」

「侑士先輩部活は?」

「見てってくれへんか?テニスしてる俺、結構かっこええで。」

「ふふ、絶対見に行きます!」

また笑ってくれた。やっぱりかわええ。にやけてしもうわ。

「もうすぐ学校着くで。」

「いつのまに…」

「寂しいん?」

「ちょっとだけ…」

「大丈夫や、明日から…いや今日から一緒や。」

「なんか恥ずかしいですね…」

電車おりてからもなまえちゃんのことずっと見てた気がする。なんやこの小さくてかわええ生き物…

「侑士先輩、もう手繋がなくてもいいですよ?」

「あ、あぁ。せやな。」

「1年なんでここからは別々ですから…」

いつのまに手繋いでたんやろう…緊張しすぎて記憶にない。
やっぱなまえちゃん足綺麗やったなぁ…
気づいたらもう放課後だった。小説でよくある展開やと思うやろ?これがほんまなんや…まさか自分が…

「おい、忍足…忍足!」

「…あぁ、跡部か…」

「朝からおかしかったぜ…お前。」

「どんなんだった?」

「ずっと上の空でぼーっとしてたって他の奴らも言ってたぞ。」

「たしかに授業受けた記憶ないわ…」

「侑士先輩!」

「おぉ、なまえちゃんやん!来てくれたんか!」

「約束でしたから!」

フェンス越し最前列になまえちゃんの姿が見える。結構女子いるのによくそんな前に…

「あの子迷子になってたから助けてあげたんだCー!あ、まさか忍足…」

「な、なんやジロー…」

「同意もなくあの子に手をだして…」

恐ろしいものでも見たあとかのように唇や拳を震わせながら言いよった…

「そんなわけあらへんやろ!まだだしとらんわ。」

「まだっつーことはこれから手だすつもりか…?」
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