第1章 【黒子】ボク、本当は。
黒子君に告白されてから、しばらくたったある日のこと。
なんだか最近は、黒子君の言動に何も言えなくなっちゃうことはなくなったけど、その変わりに今度はどうしてか、ドキドキするようになってきた。
ううん、よく考えたらそういう言動に、というわけじゃなくて…私に向けられる言葉とか、表情とか。他にも、授業中のとか、バスケをしてる時とか。
「黒子君」自体にドキドキしてるんだと思う。
どうしてかなって、考えてた日のこと。
仲のいい友達が、雑誌の恋愛特集を見てて、私にも見せてきた。
「ねえ見て!『あなたが身の回りの男子をどう思ってるか診断』だって!悠紀もやってみれば?」
『え?…うん。面白そうだね』
正直私は、恋愛とかよくわからないから、あんまり興味がなかったんだけど、友達がキラキラした目で見つめるから、断りきれなかった。
身の回りの男子といって、思い浮かぶ人は黒子君しかいない。
あまり気乗りしないまま、私は診断を始めた。
(…えっと、『その人といるとドキドキする』…yes。『その人の良いところを5個以上言える』…yes。『その人の嫌いなところが3つ以上ある』…no。最後…『その人といると楽しい』…yes)
診断を終えた私はびっくりした。
『嘘…!』
【あなたはその人のことを『好きな人』だと思ってるみたい!】
雑誌に書かれている言葉に、鼓動が止まらなくなった。
「どうしたの?悠紀。顔が真っ赤だよ?」
『う、ううん。なんでもないよ』
(私が、黒子君のことを…好き?)
頭が混乱して、よくわからなくて。
でも心臓だけは、間違ってないことを主張するように、ドクドク脈打ち続けていた。
それから、どうしても意識してしまうようになって。
黒子君のことを、不自然にならない程度に避けるようになってしまった。