第4章 【赤司】ドルチェブラッド
「何を」
あまりに現実離れした光景に、さすがの赤司も固まった。
それを見て、更に嬉しそうに笑う悠紀。
『ふふ…主将の血、美味しそうで、美味しそうで…こらえるのに必死だったんですよぉ。誰にも負けないくらい高貴で、いい匂いのする血…』
背筋が急に冷たくなる。
『飲んだら…どんな味がするんでしょうね?』
そう言いながら、ペロッと唇を舐める悠紀。その瞬間、鋭く尖った白いキバが見えて…噂は間違ってなんかいなかったことを赤司は認識した。
悠紀が近寄ってきたにも関わらず、全く動かない体のせいで、赤司はされるがままになっていた。
ふぅ、と吹きかけられる吐息に、ゾクゾクと電気にも似た衝撃が走る。
つぷり、という音と共に、赤司の首筋に歯が突き立てられた。
痺れるような痛みに、赤司は体を震わせる。