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【刀剣乱舞】人ならずとも

第7章 夜陰の逃避行~思わぬ酔宴


そしてそれは、やがては薬研も前田も。

「はい!」

終始無言かつ仏頂面でいた蜂須賀にまで、それはおよび、挙句、

「からくりさんも!」

またしてもその呼称でもって、○○は楽しそうにおにぎりを差し出し。

その他一同が、果たして大倶利伽羅がどう出るか、と見つめる先で、

「……まだ言うか、あんた」

呆れたようにしながら、大倶利伽羅も、○○のおにぎりを受け取り、口へ運んでいた。

そうなってしまえばもう、特に肴があるわけでもない、伴となるのは○○が笑いながら握る(既にただ丸めるに近い趣きあり)おにぎりのみ…にも関わらず、厨の板葺きに腰を下ろした本丸の住人達は、宴というにはあまりな情景の中、それでも何処かそれぞれにこの時間を楽しむように寛いでいた。

「あれ、もう飯なくなっちまったか?」
「んー?ううん、まだあるー。はい、やげん」
「お、ありがとよ、たいしょ」
「はーい。あ、はちすかさんも、はい!」
「あ、ああ……」

複雑な面を滲ませつつ、けれどやはり何処か楽しげな蜂須賀がそこにいた。

(まあ、今夜はもはや仕方がないか)

何処かでこの雰囲気を楽しんでしまっている己を自覚する一方で、しかし。

(明日になったら……)

○○の酔いが醒めたなら、その時は……。

殊更叱りつけるような真似をするつもりはないが、それでも夜陰に一人でふらつくとは、酒を飲むとか(といってもこれは不可抗力なのだが)。

その辺りはちゃんと苦言を呈さねば、とひっそりと思いながら、蜂須賀がふと○○を改めて見れば。

「のど、かわいた……」

ぶつぶつ言いながら、何かを探している。

「のど……?」

喉が渇いた、ということは、水を求めているということか。
判じた蜂須賀は水瓶を求めて立ち上がったが、それより早く、

「そら」

また喉でも詰まらせたか、などという揶揄とも取れる嘯き付きで○○の眼前に出てきたのは。

「ありがとうー!!」

○○が至極嬉しそうに引き寄せたそれこそが、諸悪の元凶…ならぬ。

「あの柄杓……」

まだ飲ませる気か、と蜂須賀がもはや許さん!とばかり○○からそれを取り上げた。
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