第1章 強制召喚
その後、このまま城内も見て回ろうかという話の流れに(これからここで暮らすのなら、自分の家の中くらいちゃんと知っておきたいという話になった)○○は素直に頷いて、あくまで主を守るかのように先に立つ彼の後ろへと続く。
(こういうの、頼もしい…っていうのかな、やっぱり)
こんな風に誰かの背中に守られて進むなんて、現代世界ではそうあることではないだろう、と○○は思う。
だが一方で、彼が口にした言葉が、○○の中で何となく引っ掛かっているような、そんな気がした。
(真作と…贋作……)
彼が零したその言葉には、単なるこだわりとか、そういうものとは違う『何か』があるような、何となくそんな気がしたものの、それを口にすることは何となく憚られて、○○が蜂須賀にそのことについて問うことはなかった。
広い庭園に、広い城内。
『本丸』と呼ばれる審神者一人一人に与えられる本拠地たるそこは、傍目には日本の城そのもの…という雰囲気だ。
見た目はもちろん、内装も純和風。
審神者やら刀剣男士やら、そうしたものを組織したのはそもそも○○のいた世界よりもずっと未来だと聞いたはずなのに……。
どうして本丸やら何やら、こうも時代めいているのだろうか。
これでは未来的な生活どころか、かなりアナログな生活になりそうだ…と思ったのも束の間、見かけこそ時代を思わせる意匠でありながら、この『本丸』、驚くべき最先端技術(かは知らないが)を有していた。
一言で言うなら、大きな城の形をしたロボット…もしくはアンドロイド、というところ、だろうか。
AIなのか…未来の産物であるから、それ以上の何かなのかもしれないが、ともかくも本丸自体が、屋内での生活全てを支える機能に満ちていた。
例えば食事、例えば洗濯から掃除、その他諸々…家事全般。
全てを本丸が…といっても、この巨大な住居が動くわけではもちろんない。
目の前で食事が出たり消えたり(基本栄養バランス重視だが、リクエストもできるらしい)。
台所を覗いてみれば、いつでもぴかぴかの食器やら鍋やらが揃っているという次第だ。
衣服一つにしても、巫女装束、小袖、十二単に打掛姿…そして○○が馴染んでいる元の世界の衣服などなどなど。