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【刀剣乱舞】人ならずとも

第6章 監理官の影


「審神者様。監理官殿は、審神者様に更なる鍛刀を促しておられるのやもしれません」
「鍛刀?」

しかしメールには、そんなことは一言も記されていない。

あるのは、○○が初の鍛刀を成功させたことを祝す文字が短く綴られ、その後に続く言葉もまた、速やかに練度を上げ、功を挙げることを望むという、そんな趣旨のもののみだ。

なのに。

「このメールの何処が?」

○○には、こんのすけが言うようには、このメールを読み取ることができない。
蜂須賀も怪訝そうに、こんのすけを見下ろしていた。

「こんのすけ。お前は主に仕える身ではないのか」
「無論でございます」
「ならば何故、こんな奴を擁護する」

見下ろされる、というよりは睨まれるような視線を受けて、こんのすけはそうでなくとも小さな身体を更に窄めた。

こんのすけにしたところで、監理官を擁護する義理などないし、本音を言うなら○○や蜂須賀と同じく、こんなメールを寄越した監理官に苛立ちを覚えなくもない。

だが得てして、監理官とはこういう輩が多いのが現実なのだ。

自らは戦場に立たず、傷ついた刀剣男士を目の当たりにすることもない。

現場を知らぬ、収集されたデータを元に机上からものを言う。
それが監理官という者達だから。

だからこそ、こんのすけも正直なところはもちろん○○の味方であり、それは揺るがない。

だがここで己までが監理官を悪し様に言えば、審神者として経験浅い少女の、監理官への心証は決定的なものになってしまうだろう。

監理官と審神者……。

この関係において、険悪になるのは賢明ではない。
今後の○○を思えば尚更、ここは穏やかに収めることが肝要だ。

初期刀である蜂須賀は審神者になったばかりの○○を案じ、よく支えようとしてくれている。

そんな彼に、○○も次第に前向きになりつつあるこの頃を見れば、良い主従だと、こんのすけは素直に思えた。

だがいかんせん、二人ともに、あらゆる意味で『経験』が欠けている。

○○は言わずもがな、蜂須賀も初期刀であるがゆえに、○○以外の審神者に仕えたことがない…つまりは、刀剣男士としての経験値が皆無だ。
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