第5章 食卓を囲んで
そんな一連の流れの中、○○が額を激突(は言い過ぎかもしれないが)させた瞬間、さすがに虚を突かれたような表情を浮かべていた二人の男は、それぞれに瞠目していた…のだが。
蜂須賀や薬研達に囲まれる少女の様子から大事ではないと判じるや、
「……ふん」
「……くだらん」
これまたぼそりと、しかしばっさりと、二つの声に切り捨てられた。
そうして、そこから始まった、鍛刀した彼らと囲む初めての食卓は……。
「ごちそ、さま…でした」
自己嫌悪にぐったりとばかりな少女の食事は、ほとんど減っていない。
本来食事をしなくても問題のない刀剣男士達の方が、余程綺麗に平らげているという有様だった。
「主、これでは朝と変わらない…いや、かえって少ないのではないか?」
「そんなことないです」
「あるから俺は言っているのだが」
「ないです」
「だから、そんなことは……」
「ないったらないんです!」
心配してくれているのは分かっても、この(○○的)惨憺たる有様が恥ずかしくて、○○はつい語気を強めてしまう。
あたかも打てば響くように、しかも反抗期か、とばかり、いー、なんて顔よろしく、うっかりそんなことまでしてしまってから、○○は、はっ、として一瞬、石化した。
この世界に来たほぼ最初から一緒にいる蜂須賀には、○○は一番心を開いていると言っても過言ではないだろう。
最も辛い時期、どうしようもない時に、戸惑いながらも傍にいてくれたのは他ならぬ彼なのだ。
それが審神者に仕える刀剣男士の務めだから…だったとしても、独りきりで放り出されることを思えば、彼の存在は○○にとって救いにも似ていた。
お陰で○○は、蜂須賀に様々な自分を既に晒してしまっているが(主に泣いたり喚いたりという、○○的には抹消したいもののオンパレードだが)、こんな風に面と向かって反抗期もどきな切り返しをしたことは(多分)なかった、と○○は追想して、そういえば、薬研と話しているところへ迎えにきてくれた時にも、似たような反応をしてしまったような…していない、ような……?(いや、した覚えがある)