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【刀剣乱舞】人ならずとも

第4章 密談-こんのすけ


本来、そうした激情や恋慕というものに淡泊であるはずの彼をしてその身に宿した恋着が、どうしようもないほどの情念へと深まった時、愛しい審神者の真名を得たとしたら…どうか。

大切な相手の意思を歪めてまで、と手をこまねく者…自らの正義感によって己を押し留める者もあるだろう。
だが、そうでない者もまた、当然いるに違いない。

そして…自らの正義、恋しい相手の意思よりも、狂うほどに身を焦がす愛欲によって、刀剣男士が手に入れた真名を、もしも用いたなら……。

その標的となった審神者がどうなるかなど、知れている。
こうなっては奥の間に逃げ込もうが、もはや意味はない。

真名によって文字通り、全てが刀剣男士の自由となってしまうのだから、真名を奪われた審神者には、もはや抵抗の余地などありはしない。

だからこそ、今は何もなくとも、初めから、決して真名を『許さない』こと。
重ねて告げるこんのすけに、○○は頷くのを躊躇った。

こんのすけの忠告を受け入れられなかったからではない。
ただ。

「でも名前なんて、いつの間にかバレちゃうこともあるんじゃないですか?」

そうだ。
どれほど注意していたとしても、何かの拍子に知られはしないと、どうして言い切れるだろうか。

同じ本丸に住まうとなれば、尚更だ。
隠し続けるなど無理ではないのか。

気難しげに眉間を寄せる少女の様子を見越したように、こんのすけは確かに、と請け合う。
そうして、その上で、

「真名が彼らに知られるだけであれば、大事ありません。審神者様。肝心なのは貴女様が、それを『許す』ことなのですから」
「許す?」

「はい。審神者様の仰るように、いずれ刀剣男士達は、貴女から知らされずとも、その名を知ることがありましょう。名を秘し続けるのは、古であればともかく、多くの情報が溢れる時代にあっては不可能に近いもの。ゆえに時世に則した変化…というわけでもございませんが、現在は名を知られ、これを呼称されても、何ら問題はございません。ただ貴女様が一言、これを『許す』とその者に告げぬ限り」

「……『許す』って言葉、だけ……?」
「はい。『許す』でございます。類似した他の表現は効力を持ち得ません。ただ一つ、真名を『許す』という明確な意図を持った『許す』、これだけが、相手に貴女様の真名を与える鍵となるのです」
「…………」
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