第4章 密談-こんのすけ
付喪神を従えるなど、本来の力関係からすれば足元にも及ばぬ人間の審神者……。
その奇妙な主従関係の成り立たせる上で、そして、男である刀剣男士との関わる上で最も心に留めおくように、と、こんのすけは改めて口を開いた。
「先程も申し上げましたが、刀剣男士のどなたかと恋仲になること、これは罪ではございません。ですから、どなたかと心通うことがあれば、これを後ろめたく思うことはありません。ですが、付喪神たる存在とのまぐわいは、人の身には余るもの。耽溺は何卒ご自重ください」
「…………っ!!」
耽溺…とは何だ、とは○○は口にしなかった、というより、できなかった。
何故なら…その意味は…つまり……。
「そ、そそ、そんなんこと、あるわけ……っ」
ないでしょ、と言い切ろうとする○○を、しかし、こんのすけは静かに仰ぎ見た。
誰にも、先のことは分からない。
女性の審神者と刀剣男士との関わりを、こんのすけはこれまでも、時に垣間見、耳にしてきた。
だからこそ、どれほど愛し合ったとしても、付喪神の気を…その精を、人の身であるその内側に受け入れすぎては危険なのだ。
多くを注がれ続ければ、いずれその者は人の枠を外れ、相手の付喪神と同じ生命を共有する…その付喪神に絡め取られた存在へと変じるという。
これもまた、あくまで噂や口伝の域を出ないが、古くから伝わる伝承の一つだ。
「審神者様が人間である限り、如何に付喪神と交わろうと子を成すことはございません。ですが反面、先に申し上げた危険がございまする」
ゆえにどうか、お忘れなきよう。
そして、その真名を、決して刀剣男士に『許さぬ』ように。
「真名……?」
「はい。言霊とは大いなるものでございますゆえ」
人間同士が相手の名を手に入れたところで、例えそれが審神者という能力者であったとしても、そこにはさしたる脅威はない。
だが、刀剣男士…付喪神は異なる。
相手の真名を手にすれば、その神気でもって、己の意のままにすることも可能なのだ。
その対象が主たる審神者であろうと、これは変わらない。
例えば、どうしようもないほどの恋情を審神者に抱いてしまった刀剣男士がいたとする。