第1章 強制召喚
『本丸』と呼ばれる○○の住まいは、○○を主人とする(であろう)刀剣男士達の住居でもある。
しかし目下のところ、この広い広い本丸にあるのは、○○とこんのすけ、そして初期刀である蜂須賀虎鉄のみである。
何とも、がらん、とした、だだっ広さを感じざるを得ないが、それはとりもなおさず、刀剣男士を増やさねばならない、と、そういうことらしい。
「その通りでございます。審神者様。さすればこの本丸も賑やかになりましょう」
賑やかになれば、きっと気分も変わるし、何より戦力が増す。
そうして戦いを重ね、いずれ歴史改変主義者を掃討する日も早まり、○○も元の世界に戻ることが叶う…なんて、事がそう容易でないことは、これまでのこんのすけの説明から感じ取っていた○○だったが、しかしそれしか方法がない以上、背に腹は代えられない。
ただ泣いて蹲るだけなら、いつだってできるのだ。
こんのすけの言葉にやや踊らされている気がしないでもないが、○○はまず、自分にできることから始めてみることにした(それしか道がなかったともいうが)。
不本意ではありつつも審神者とされた少女の日々は、こうして唐突に始まったのである。
「何かご不明な点、お困りのことがございましたら、何なりと、このこんのすけに仰せくださいませ。力の及ぶ限り、審神者様のお役に立ちまする」
○○が本丸に入ってから、まだほんの数日。
ぺこり、と頭を垂れるこんのすけは何度見ても、何処か愛嬌があって可愛らしい。
○○の心に余裕があれば、あるいは思わず撫でまわしてしまいそうなほどだが、今の○○にはまだ、そこまでの元気はない。
とはいえ、まず○○がすべきは、この異常事態…もとい、これから日常となるこの状況に順応することだった。
分からないことがあれば、こんのすけと蜂須賀虎鉄が、○○が理解できるまで言葉を砕いて教えてくれる。
望んだわけではない『審神者』という己であったが、彼らにとって、審神者とはよほど重要なものであるらしい…なんて、そんなことを何の気なしに○○が誰ともなく呟けば。
「そのようなことは当然だ。主」
「蜂須賀…さん?」