第4章 密談-こんのすけ
つまるところ、その該当するところは刀剣男士となりうるのだ、などと、それを口にするのは、やはり躊躇われた。
(刀剣男士とは、審神者様を守護するもの)
その本来あるべき姿から逸脱する可能性を示唆することはない。
第一、その為にも、奥の間があるのだから。
そう考え直し…けれどそれもまた『奥の間』について語ることによって、結局こんのすけの、一度は図った配慮が霧散することとなる。
しかしそれでも、これは話しておかねばならぬことだから。
こんのすけは深く息を吐くと、最後の一間へと言葉を移した。
『奥の間』……。
そこは、絶対不可侵の領域。
二の間同様、主である○○の許可が絶対条件であるのは同様に、更には○○の手によって直接招かれなければ立ち入ることはできない。
万が一、何者かが言葉巧みに○○から許可を取り付けたとしても、当の○○自らが、奥の間にある状態でその者を招き入れなければ、奥の間への立ち入りは成立しないのだ。
ゆえに、奥の間こそは、審神者にとって絶対の安全領域であり、使いようによっては最後の砦となるのである。
「砦……?」
物騒な表現に、○○が顔を顰める。
と、こんのすけはそれを解すべく、いつものようにやんわりと小首を傾げたりは、しかし、しなかった。
「これは大袈裟な表現ではございません。いたずらに審神者様を脅かすつもりは毛頭ございませんが、可能性の一つとして、どうか、ご記憶に留めてくださいませ」
らしくなく、き、と目を吊り上げるようにして、こんのすけは先を続けた。
そもそも本丸の主が、他の本丸を、どのような意図…理由に関わらず、攻撃もしくは奸計…いずれにしても、これを陥れる真似は厳禁である。
それはかつて、己の本丸に存在しない刀剣男士欲しさに他の本丸を攻め、強引に己の刀剣男士にとするという暴挙に訴える審神者が、不幸にも一人ならず存在したがゆえの、その悲劇によって定められた厳密な規則である。
ということは、他の本丸の誰かが攻めてくることはありえない。
なのに『最後の砦』…とは、どういう意味だろうか。
○○は強張る面のまま、考え耽るように俯く。
どう考えても答えを出せない○○に、こんのすけは頷いた。