第4章 密談-こんのすけ
目下、本丸の季節が滞っているのは、これもこんのすけの見立てであるが、○○の不安定な精神状態によるものが大きい…らしい。
如何に審神者と認められ、本丸に正式に入ったとはいえ、その心が乱れていては意味がない。
心の乱れは、そのまま気の乱れにも通じる。
しかし○○のそれも、まだ安定…とは言い切れないが、審神者の『気』が本丸を包み込むように巡る程度には、どうやら落ち着いてきたように、少なくともこんのすけには見て取れた。
だからこその『今少し後』……。
○○には未だその自覚はなかったが、まあ、そういうこと…らしかった。
春夏秋冬……。
慣れ親しんだ故郷とは、ここはあまりにも違う場所だが…それでも、巡る季節はどうやら同じものであるようだ。
それは嬉しいことなのか…郷愁をもたらすものなのか、それは、○○にも分からなかったが。
そんな心持ちで庭を眺める○○を見つめながら、こんのすけは不意に、
「失礼いたします」
と頭を下げ様、前足で、とん、と器用に二の間の襖を閉じ、改めて○○に向き直った。
「それでは、審神者様の部屋について、お話しいたしましょう」
「ここ?」
「はい。以前、審神者様は、一人で使うにはこの部屋は広すぎると仰せでございました」
「………」
確かに、そう言った記憶がある。
○○は頷いた。
あの時、こんのすけは、これにはちゃんと意味があるのだ、と、そう言っていたが、詳しくは教えてくれなかった。
その理由を、こんのすけは今、語り出した。
「あの折には、蜂須賀殿がおられましたので、審神者様の疑問に詳しくお答えすることができませんでしたが、この部屋は、ご覧のとおり、庭に面して並んだ二間、その奥に一間という作りになっております。これを順に、庭に面していない奥の室を一の間、または奥の間と言い、奥の間と間続きの室が二の間、奥の間とは直接繋がっていない、もう一つが三の間となります」
こんのすけの言葉に、○○は辺りを見回す。
その言葉に寄れば、今自分がいるここは、二の間ということになる。
呟く○○に、こんのすけは、その通りでございます、と頷いた。