第4章 密談-こんのすけ
そうだ。こんな風に、既に教えられたことを反復するだけなら、蜂須賀を遠ざける必要はない。
なのに、こんのすけは……。
いよいよ納得ができずに、○○の面は緊張で強張っていく。
「こんのすけ」
固い声で呼ばわる少女に、こんのすけはぺたり、と畳に頭を擦り付けた。
「お許しくださいませ、審神者様」
「こんのすけ?どう……」
どうしたの、と訝しむ○○に、こんのすけは申し訳なさげに項垂れた。
「本日、蜂須賀殿を退けてまで、審神者様にお話しせねばならぬのは、これより後にございます。ですが、これをお話しするには、先の事柄を踏まえた上で…と思いましたので……」
尚更にややこしくなる話が続くからには、審神者たる少女が、そもそも基本を呑み込めているか否か。
不敬を承知で、こんのすけは○○を試したのだと改めて謝罪し、その上で、目に力を込めた。
「今の審神者様なれば、お話しして、何ら支障はございません」
こんのすけ的に、どうやら○○は合格らしい。
が、今までの基本事項だけでも馴染みのないことばかりで困惑も多いというのに、この上、更に何かがあるのか。
しかも。
(蜂須賀さんには聞かせられないような話……?)
近侍であり、これまでは常に○○の近くにあるのが当たり前のようだった蜂須賀を、こんのすけは意図的に退けた。
その事実が、○○を警戒させる。
しかしこんのすけは、ひとしきり○○に非礼を詫びると、元通りのゆったりと様子でそこにいた。
「何もご懸念には及びませぬ。ただ、審神者様のお耳にのみ入れておくべきお話があるというだけでございますゆえ」
「私にだけ?」
「はい」
「蜂須賀さんには喋っちゃいけないってこと、ですか?」
「厳密な規則はございませんが、暗黙のものとして、刀剣男士には、伏せていただければと」
「…………」
そんな風に切り出すこんのすけの、刀剣男士を退けての話とはどんなものなのか。
どうしても構えてしまう○○に、こんのすけは本題というそれを、口の端にのぼらせたのだった。