第4章 密談-こんのすけ
更に忘れてはならないのは、刀剣男士とは、その刀に宿る、いわゆる『付喪神』という存在である…ということだ。
同じ刀があちらこちらに複数鍛刀可能という不思議は、人ならぬ彼らが次々に分魂することが叶うからである、とされている(これは政府見解であるらしい)。
そんな付喪神である彼らだが、しかし不死身ではない。
人間である審神者よりもずっと強靭である彼らは、多少の負傷はものともせず、重傷に至っても、審神者による手入れによって、短い時間で完治が可能である。
しかし重傷の…その先、本体である刀身が破壊という域に至った刀剣男士は、文字通り、その場で砕け、霧散する。
こうなっては、もはや手入れは意味をなさず、審神者は破壊された刀剣男士を失うこととなる。
後の鍛刀によって、再び同じ刀を顕現できたとしても、それは先に破壊されたものとは別個の存在であり、練度も初めから鍛え直さねばならず、戦力低下は否めない。
これを避ける為にも、審神者は刀剣男士が破壊されることのないよう練度を上げ、送り出す戦場を判断し、常にその状態把握に努める。
これが何より重要である。
それはそのまま、その審神者の本丸の戦闘能力に直結するのだから…とは、政府公認かつこんのすけ監修による審神者入門書もどきの書物のあちこちに、しつこく記されている内容だ。
と、そこまでを反芻して、ぱらぱらぱら…と器用に書物を捲り、こんのすけは○○を見上げた。
「ご立派でございます、審神者様。あとは実践あるのみでございますね」
こんのすけは、その面に笑みと受け取れる柔和さを浮かべたが、○○は釈然としない。
書物を用いての、こうした教授も反復も、○○が本丸に入ってから既に済んでいるものだ。
重要なことだからと確かめに来たとしても、やはり何か…○○の中で引っ掛かった。
「こんのすけ?」
「はい、審神者様」
何でございましょう、といつも通りなこんのすけに、○○は、ぎゅ、と服の裾を握りしめた。
「本当に、それだけ?」
「それだけ…とは?」
「これだけの為に、わざわざ蜂須賀さんを外に出したんですか?」
一番の引っ掛かり、それを○○は口にした。