第4章 密談-こんのすけ
それは、同じ時間軸であれば、異なる時代…つまりは過去世界からも素質ある者を見出し、該当した者を審神者として召喚する…というものだった。
この新たな方針によって、○○は強制的に審神者とされたのである。
○○にとっては迷惑以外の何ものでもないが、少女の現実は今、この『本丸』にあった。
そして、この『本丸』……。
それは審神者となった者が、それぞれ本拠地として与えられるものである。
本丸とは時代めいた天守と御殿、厩舎や畑を含めた広大な庭園からなり、○○が召喚された未来の世界とも異なる、特殊な亜空間に浮遊しているようなものだという。
にも関わらず、周囲を見回せば緑豊かで長閑な景色が見えるのは、一種の目くらましであり、例えていうなら、本丸は巨大な風船の中に収まっているようなもの…だろうか。
加えて、門の外には城下町も見て取れるが、これも本丸の景観に合わせた幻影のようなもので、実際にはそこには何も存在していない。
ただし、完全な見せかけの緑なす景色と異なるのは、実際に城門の外へ出れば、それは何処かに通じている、というところだろう。
審神者の采配によって、城門の向こうにはいずれかの時代の、刀剣男士が赴くべき戦場、あるいは時として実際に存在する街へと踏み出すことができるのである。
これによって審神者のみならず、刀剣男士らも気晴らしやら買い出しやらと街に繰り出すことは可能だが、当然ながら、刀剣男士が本丸の外へ出るには審神者の許可を得ねばならない。
ちなみに、審神者も刀剣男士も日常の住まいはこの『御殿』であり、『本丸』と称するのは、大抵がこの御殿を指す。
翻って天守の役割は、敵に攻め入られた際に籠もる城砦の役を担う為、常の居住空間としては不向きな構造となっている。
余談であるが、まったく使用されないこの天守。
しかし、本丸を管理するシステムによって、常に万全の状態が保たれている。
いつ如何なる時、有事の際には立て籠もることができるよう完璧な整備が成されているのである。
なお、この本丸システムは、審神者の裁量一つで、一部機能を抑制したり、停止させたりと、カスタマイズも思うがままとなっている(例えば食事くらい自分で作りたい、と思えば、その機能を停止させることができるというわけだ)。