第4章 密談-こんのすけ
唐突に審神者として召し上げられれば、当人はもちろんだが、その家族にとっても一大事である。
審神者の能力を見定め、これを召喚するのは政府によって任命された『監理官』の権限によるものだが、審神者の家族のケアもまた、監理官の重要な仕事の一つだ。
その中でも、審神者候補を見出した監理官がまず取り掛かるのは、過去世界から候補者を召喚した場合の歴史への影響度を調査することだった。
歴史改変を阻むことが目的でありながら、自ら改変の元を作っては本末転倒。
そうはいっても本来過去に存在する者を、未来世界に召喚するのである。
影響がゼロであるはずはない…が、そこは『大事の前の小事』とは、何ともお偉方の考えそうな物言いだが、事実、審神者候補者が、いずれ歴史に多大な影響を及ぼす人物でない限り、ほぼ無遠慮に召喚は強行された。
結果、○○が召喚されたということは、まあ、そういうことなのだろう。
そして監理官の更なる務め。
残される家族へのケア…であるが。
これまた、ケア…などと言えば聞こえは良いが、平たく言えば『召喚された当人が既に納得している』『当人の身の安全は保証する上、当人が望めばいつでも一時帰宅が可能』…という旨を監理官は告げる一方で、残された家族はその後の生活の一切が保証される、言わば大規模援助等、様々な搦め手もどきでもって事が収められていた。
無論、当人の納得も、安全の保障も、いつでも帰宅可能…なんてことも、どれもこれも監理官の方便に過ぎないが(○○を例にするなら、そもそも納得どころか強制な上、審神者という任にある時点で完全な身の安全はなく(それどころか敵の襲撃を受ければ死すらあり得ると聞かされた)、帰宅できるなどそれこそ聞いたこともない)、これを上手くこなすのもまた、監理官の力量というものらしい。
などと並べ立てると、あたかも誘拐紛いのやり口であるが、昨今、歴史改変者のみならず、検非違使と称される謎の第三勢力が現れ、この急襲に晒された審神者が幾人も斃れ、今尚、力及ばぬ審神者は善戦虚しく検非違使に敗れるという状況が続いている。
この為、当初は審神者システムを構築した世界の中(同時代)からのみ、素質を有した者を審神者として召集するという方針を執っていた政府は、深刻な審神者不足によって、これを転換した。