第4章 密談-こんのすけ
三間続きの室の内、○○は、この日のみならず、大抵、二の間に腰を落ち着かせている。
今日とて同様の様子を見て取ったこんのすけは一つ頷いて、○○の許しを得て二の間に進み入ると、その目の前にちょこん、と座った。
見た目はいつも通りの小さな狐……。
可愛らしい容姿は変わらないのに、○○は何故か緊張していた。
けれど、そんな少女の身構える様子をよそに、まずこんのすけが切り出したのは、審神者として知っておくべき事柄…それらは既にこんのすけや蜂須賀から教えられ、あるいは与えられた書物(○○の為にこんのすけが用意した審神者の入門書のようなものである)に記されたているものばかりの、いわば復習…といえば聞こえの良い、抜き打ちテストもどきだった(これはこれで緊張するが)。
まず手始めとされたのは、遠征や内番、手入れに演練、そして最も肝心であろう出陣について。
出陣とは言わずもがな、歴史改変者との戦いに臨むものであるが、その陣容は刀剣男士のみはもちろん、審神者の同行も是とされており、その判断についてはそれぞれの本丸に一任されている。
しかし審神者個人は刀剣男士のような戦闘能力を有していない為、戦場には刀剣男士のみで赴くのが現在の主流であるらしい。
それからこちらも肝要となる、鍛刀……。
そして鍛刀では邂逅の叶わない、戦場でのみ巡り会えるという特殊な刀剣男士の存在(この現象はドロップというらしい)、などなど、およそ基礎の基礎という部分から始まったそれは抜き打ちというより、あたかも反復授業のようでもあった。
そもそも、○○が不本意にも召喚されたこの世界は、○○の暮らしていた時代よりも未来に当たる。
この未来世界で起きている事象を治めるべく、審神者システム…とでも仮にいうべきか、刀剣男士を鍛刀し、統率するという制度が、政府によって確立していた。
しかし『審神者』とは、誰しもに務まるものでなく、また訓練等で身に着く能力でもない。
当人の与り知らぬ先天的に有した能力ゆえに、見出された者は半ば強引に…しかも審神者なるものなど与り知らぬだろう過去の時間軸からであろうとも、容赦なく召喚されることもあり得る。
これは○○が良い例であろう。