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【刀剣乱舞】人ならずとも

第3章 出会い-薬研藤四郎という少年


こんな風にみんなから離れたままでいたら、いずれ誰か(恐らく蜂須賀か前田辺り)が捜しに来るだろうと思いながら、薬研はゆったりと目の前の少女を見つめる。

出会ったばかり。
まだ、目前に立つ己の主である、その性情もよくは知らない。

けれど…主に対して不遜を承知で表現するならば、薬研は出会ったばかりの○○を、既に気に入りつつあった。

そんな少年の、目前。
○○は困惑したように息を吐いた。

「私、一生懸命やっても全然なんだよ?それなのに……」

もっと気楽に、なんてとても無理だ、と音にできない言葉で、○○は呟きの最後を呑み込む。

だって、もっと頑張らなければ…もっと、もっと……。
そうしなければ自分には審神者なんて務まらない。
その気構えさえ、挫けてしまいそうになる。

審神者として先へ進めなければ、元の世界に戻れない…家に、帰れないのだ。

歴史を変えない為にとか、そういう正義感や使命感でなく、自分は元いた場所に、ただ帰りたくて前を向こうとしている。

いつ帰れるか分からない。
でも何もしなければ、確実に帰れない。
だから…と、まだ淡いばかりの希望だけを頼りに、へこたれてしまいそうな自分を奮い立たせているのだ。

そんな、およそ審神者らしくない、自分を支えることに精一杯な、こんな自分を晒したら、目の前の少年は…いや、彼だけじゃない、他の刀剣たちも皆、呆れるだろうか。
こんな審神者の元に顕現したことを嘆くだろうか。

いずれにしても、今の○○はどんなに頑張っても足りないということはあっても、頑張り過ぎ、ということはない。
そう…思っている。

その思いがあればこそ、不安でどうしようもない時でも、どうにか立っていられるのだ。

蜂須賀やこんのすけが傍らにいてくれる日々にさえ、○○の中にはまだ、孤独がたゆたっているのだから。
だから気を楽に…とか、そんなことは、とても……。

「無理だよ、そんなこと。簡単に言われたって、できるわけないじゃん!」

つい…本当にうっかり、○○はくしゃり、と頬を歪めながら、声を荒げて吐露してしまった。
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