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【刀剣乱舞】人ならずとも

第3章 出会い-薬研藤四郎という少年


確かに、審神者として最も重要な役目の一つは刀剣男士を鍛刀し、これを更に強く鍛えて歴史改変を目論む者を討つことだ。

それは蜂須賀も十分に理解している。
だが……。

○○は本丸に入って以来、今日という日まで、そのどれをも行ってはいないが、蜂須賀の目に、それは怠けと映ったことはない。

聞けば何の前触れなく、突如として審神者に任命されたという○○は、それでも身に負った任のため、こんのすけと、そして近侍である己から、『審神者』について、そしてこれからのこと…せねばならぬこと…何より、この世界のこと……。

一度ではとても理解するにも、呑み込むことすら苦しむだろう多くを、それでも受け止めようと努めている。
少なくとも、蜂須賀の目には、○○という少女はそう見えた。

苦悩するように項垂れる姿もしばしば見受けられるが、それでも再び立ち上ろうと…前を見ようとする姿勢は美しいと思う。

だが反面、蜂須賀の主となった少女は脆く、弱い面を有してもいるようだった。

だからこその眠れぬ夜があり、適度な食事の摂取量というものに蜂須賀は通じていないが、そんな彼をしても、○○の食はとても細く見え、現に、初めて出会った時に比べて心なしか痩せたように思える。

つらつらとそんなことを思えば思うほど、刀剣男士の案内などより、主の食事が最優先かつ最重要だ。

主が心配で堪らない。
何かあってからでは遅い。

そう主張するのを皮切りに、出会ってからまだ日も浅いというのに、この短い間に痩せたように見えるとか、しかも慣れぬ鍛刀に精励しすぎて、今は心なしか顔色も青白いとか、そもそも睡眠も食事も不足しているのではないのか…などなどなど。

放っておいたら幾つ飛び出すか分からない蜂須賀の心配発言の数々に、当初こそおとなしく(というより呆然と)していた○○は、はっ、としたように目を剥いた。

「は、ははは、蜂須賀さん!」

慌てすぎてどもりまくりつつ、○○は蜂須賀の発言を阻止すべく声を上げた。

「そそ、そんなことまで言わなくたって良いじゃないですか!」
「……主」
「主じゃないです、もうっ!」
「いや、主は主だ」
「今そういう話をしてるんじゃないですから!」
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