第2章 初めての鍛刀
山姥切の鍛刀成功を皮切りに、その日、○○は連続して刀剣男士の顕現を行った。
そうして山姥切に続いて現れたのは、短刀の前田、薬研。
そして、打刀の大倶利伽羅だった。
新任審神者の為にとあらかじめ用意されていた、鍛刀に必要な資材はまだ多くあり、○○は更に続けようとしたが。
「今日はもうやめた方が良い。」
どれくらい時間が過ぎた頃か、○○には時間の感覚が分からなかったが、ふと飛び込んだ声に少女は我に返ったように顔を上げた。
「? 蜂須賀さん?」
それが蜂須賀の声と瞬時に判じた少女の面が振り返る…までもなく、いつの間にか、彼は○○のすぐ傍らにいた。
「初めての鍛刀でここまでやれば、もう十分だろう」
「でも……」
やっとコツが掴めた、と○○は感じていた。
あれからどれくらいの時間、没頭していたかは感覚がないのだが、と、時間を計るように部屋の小窓から覗く空を見ようとすれば、既にそこは夕焼けに染まっていた。
「あ……」
ここに来たのは昼過ぎ頃だったと思うのに……。
いつの間にか、日が暮れようとしていることを今更知った○○は瞠目した。
「いつの間に……」
こんなに時間が経っていたのか、というより、どれだけ自分はのめりこんでしまっていたのか。
我ながら、一つのことに没頭しやすい性格なのは自覚している○○だったが、今の状況下にあっては尚更に、何かに集中していれば余計なことを考えないで済む。
暗い物思いに捕らわれずに済む、そんなこのひとときに、○○は本来の性情に以上に作業に集中しきっていた。
のだが、そんな己に気づいた途端、○○は思いきり、やっちゃった…とばかりに、げんなりと頭を抱えた。