第2章 初めての鍛刀
そもそも鍛刀とは、鍛冶を行う式神によって打ち出された、不思議な色を放つ未だ刀剣とは言い難い固まりようなそこに、審神者が力を送り込む。
そうすることで初めて、刀剣男士が顕現する…というわけだ。
ちなみに、世に刀剣と呼ばれるものの全てが顕現できるわけではなく、現時点でこれが叶う刀剣男士は政府によって定められている。
顕現が可能な刀剣男士の詳細については図録のような形で、○○は既にこんのすけから手渡されていたが、これによれば、全く同じ刀剣男士が異なる本丸にそれぞれ存在しうるのだという。
つまり、蜂須賀虎鉄が他の本丸でも鍛刀され、存在している場合がある…というより、むしろそんなことは至極当然のこととして、成り立っているそうだ。
ということは鍛刀に成功さえすれば、あちこちの本丸に蜂須賀虎鉄が何人(何口?)もいる、とそういうことらしい。
見目はもちろん、性格も同一。
けれど、それぞれの存在はしっかりと別個のものとして独立しているというから何やらややこしいが、顕現し、己が主となった審神者と、周囲の環境によって、本来同一であったはずの性格や考え方に変化が生じることもまた当然ながら否めない、とは、こんのすけの言であるが。
もっとも、それもこれも鍛刀が成功すれば…の話であったりして。
「あっ……」
「え…」
絶句する式神と○○と、そして、邪魔にならぬようにとやや後方に下がっていた無言の蜂須賀の目の前では。
がしゃがしゃがしゃんっ!
失敗した残骸(と言って良いものか)が、崩れ落ちていた。
通常の刀剣の形を成すでもなく、まして、刀剣男士を顕現できることもなく。
これは、もしかしなくても大失敗である。
「初めはこんなものでございますよ、審神者様!」
「そうでございます!コツを覚えれば上手くいきますとも!」
笑顔で励ましてくれる式神に、○○は呆然としながらも何とか気を取り直して再挑戦すること、数度……。
○○の着任と共に本丸に備蓄として用意されていた資材がじりじりと減っていくのを横目に、あまりの失敗の連続で○○が涙目になりかけていた、その時。