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【刀剣乱舞】人ならずとも

第2章 初めての鍛刀


それはほぼ毎夜、なかなか眠れずにいる室内の気配に気づいた蜂須賀が、遠慮がちに襖越しに声を掛けてくれ、その優しく潜められた声音に、気づけば○○は緊張が解けて眠っていた、なんてことが、実はこの数日、繰り返されていたりする…ことだろうか(○○には何とも気恥ずかしいことだが)。

帰りたいのに帰れない場所を思い、○○の声が涙で曇ってしまう夜でも、蜂須賀は気づく素振りを見せぬまま、やがて○○が寝入るまで、襖を隔てての静かな会話を続けた。

泣きそう…というより、もはやほぼ泣いてしまっている自分を必死に誤魔化しているつもりな○○だが、そんな室内の主の変化など、蜂須賀にはすぐさま感じ取ることができる、が、彼がそれを示唆することは決してない。

永い時間を生きる刀剣男士に比べれば、人とは何と脆く、儚いものか。
しかし同時に、健気な強さも秘めている。

だからこそ…と、蜂須賀は、○○という主に出会い、まだ短い時間とはいえ傍近くにある中で、心を定めていた。

(俺は主の近侍だ。近侍として俺は、俺の成すべきことを成すまで……)

己は主の近侍であり、今現在、この本丸で唯一の刀剣男士なのだから。

「俺が、守らねば」

あの、声を押し殺して涙する、それでも前を向こうとする主を……。



話が(かなり)反れたが、ただいま現在、○○が蜂須賀と共に訪れたのは、鍛刀部屋である。

そこは蜂須賀のような刀剣男士を呼び出すことのできる、本丸で唯一の場所であり、審神者が鍛刀する際、そのサポートとして鍛冶を行う式神達(これまた一見すると一般成人男性の姿をしていたりする)が暮らしている(彼らもまた人外であり、鍛刀部屋の外に出ることはないらしいが)。

そしてその場所へと、初日以来(蜂須賀による案内以来)、初めて自ら足を運んだ○○に気づいた式神は、飛び上がるように喜んだ。

「ようこそ、いらっしゃいませ。審神者様!鍛刀でございまするか?」
「…あ、はい。お願いできますか?」
「もちろんでございますとも!」

嬉々とした笑顔を浮かべた式神は、○○に鍛刀の手順を丁寧に教えてくれ、いざ、実践…となった、のだが……。
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