第4章 君の存在~藤堂平助編~
「俺の想いを受け止めてくれて…
でもそれに応えられなくてすまないって言ってくれたんだ。」
「……………良かったね。」
そう言う志信の目からは堰を切ったように涙がぽろぽろと溢れ出している。
「何でお前が泣くんだよ。」
俺は何だか可笑しくなって笑ってしまったけど、それでも志信は泣き続けついにはしゃくり上げる程だった。
「…っ……だって……もう…平助はっ…
苦しまなくていい…んだよね………。
心から…笑ってもいいんだよね。」
「ああ…何か…やっと暗闇から脱け出せた気分だ。」
「良かった。……本当に良かったね。」
どうして志信はこんなにも俺を大切に想ってくれるのだろうと、痛いくらい胸が締め付けられる。
「俺さ……やっぱり幸せになりたい。」
「なりなよ。なれるよ、平助なら。」
真っ直ぐに目を見つめて力強く言ってくれた志信に、やっと想いを告げられる喜びを全身で感じながら俺は言った。
「だから…この先も一緒に居てくれないか?」
志信の濡れた瞳が大きく見開かれた。
「お前はまだ、俺の事……好き?」
志信は俯いて小さくこくりと頷く。
「じゃあ…抱いてもいいか?」
もう返事を待つ気は無かった。
俺は志信の手首を掴むと、引き摺るようにして自分の部屋へ向かう。