第4章 君の存在~藤堂平助編~
暫くすると今度は一際真剣な声色で一君が話し出した。
「平助、詳しい事はまだ言えぬが俺は近い内に新選組へ戻る。
お前もその気があるなら話を付けておくが…。」
俺は驚かなかった。当然の流れだと思ったからだ。
正直戻りたい気持ちが無かった訳じゃないけど、でも俺は迷う事無く直ぐに答える。
「一君の気持ちは有り難いけど、俺は残るよ。
一君と違って俺は自分の意思で此処に来たんだし…
ちゃんと御陵衛士として此処で自分のやるべき事を
見つけてみたいんだ。」
「平助…お前、気付いていたのか?」
「うん、何となく…だけど。」
「そうか。」
一君は少しだけ申し訳無さそうな顔をした。
「一君が羨ましいよ。俺も一君みたいに強くなりてえ。
いつも一君の強さに助けられて、情けねえや。」
「俺の方こそ、平助が羨ましい。」
「………え?」
「自分の事のように他人を思いやれるお前の優しさに、
俺は何度も救われた。」
俺は凄く嬉しくて……でも凄く照れ臭くて…
「俺達ずっと一緒に居るのに、こんな話するの初めてだよな。」
一君に向かって笑ってみせる。
「ああ……そうだな。」
そう言って一君も笑顔を見せてくれた。