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【暗殺教室】これでも私は

第3章 変わる心境



  主人公視点

「鶫ちゃん。寒いから、ジャケット貸してよ」

等と言って来る隣の席の赤羽業。

「断る。何故君にジャケットを貸してあげなければならない。その義理も義務も私にはない。第一、今日はたいして寒くない」

今日は陽射しが暖かく、寒くない。その前にーーー

「何故私にジャケットを借りようと思うんだ。サイズが合わないだろう。しかも、君に貸したら最後、まともな形でジャケットが返って来るとは思えないが?そこまで分かっていて、貸す馬鹿がどこにいる」
「へえー、良く分かってんじゃん」
「私は君のいかれた思考回路など、理解したくもなかった」
「はあー?いかれた思考回路って何?俺よりも鶫ちゃんの方がいかれてない?」
「確実に君の方がいかれている」

ついムカついて、売り言葉に買い言葉を繰り返す。

「いい加減にしてください。毎回毎回、授業になりません」

そう注意をして来るのは『殺せんせー』こと黄色いタコ。

「何を言う!私はこのいかれた思考回路の持ち主に、自分はいかれていると自覚させる努力をしているのだ。それを君は止めるのか!」
「屁理屈言っていないで、真面目に授業を受けて下さい」

今、この黄色いタコは屁理屈を馬鹿にしなかったか?いや、していた。

「屁理屈を馬鹿にするな!屁理屈とは人間の武器と言っても過言ではないのだぞ!」

途端にタコは困った顔をする。さらに次々と持論を語る。

「てめえ、いい加減にしろ。うるせぇいんだよ!」

…………。

だが結局それは続かず、寺坂君からの苦情で中断された。

「すっすまない」

いくら私には必要無くても、他の皆は真面目に授業を受けているのだ。迷惑をかけてしまった。

「鶫ちゃんにも、常識ってあるんだ」

煩いぞ、赤羽業。黙れ。と言いたいところだが、さっき迷惑をかけたばかりだ。言うわけにもいかない。

「あれー、無視?それとも言い返せないの?」

言い返そうとして口を開くが、直ぐに閉じる。危ない。言い返すところだった。

「ああ、言い返せないんだ」

無視だ、無視。今言い返したら、奴の思う壷だ。私は大人だ。こんな子供の挑発などに乗るものか。

「やっぱ、俺より馬鹿じゃん」

違う。私は大人で賢い。こんな見え透いた、安い挑発は私には効かない。平気だ。だから、冷静になれ。



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