第2章 転入生
カルマ視点
今日から新しく入った一ノ瀬 鶫。
最初は面白いと思って声をかけたら、とんでもなくムカつく子だった。
確かに体育の授業での動きは凄かったが、頑張ればできそうな感じだ。
「すーすー」
…………。
そんな彼女も今は、隣で昼寝中。一瞬、起こしてあげようかと思ったが止めた。
そのまま寝てて、せんせーに怒られてしまえば良いのだ。想像しただけで、笑みが零れる。
「こら!一ノ瀬さん。転入して早々に居眠りとは良い度胸ですね」
ほら、怒られた。ざまあみろ。
「すーすー」
せんせーが顔を赤くして怒っても、当の本人は一向に起きる気配がない。
「一ノ瀬さん!いい加減にしなさい」
せんせーは後ろ側に周り、頭を軽く叩く。
「ん…………」
やっと起きたと思ったら、いきなりせんせーの胸倉に掴みかかる。
「君だな。私の安眠を妨害したのは。黄色いタコのくせして、迷惑な奴だ。だいたい、何故君は普通のタコじゃないんだ!地球外生命体?どでも良い。食用にもならないとは存在価値の低いことだ。」
…………。
そう怒鳴り散らす鶫ちゃんは、それなりに迫力があった。本性を垣間見た気がする。
「すみません、すみません、すみません」
何故か土下座を繰り返す。しかも冷や汗ダラダラで。
「そんなに怒ること?だいたいさあー、君が寝てたのが悪いんじゃない」
俺がそう言うと、睨みつけられる。
「だってそうでしょ~。完璧君に非があるよ。ねえ、殺せんせー」
「真面目に授業を受けていない奴に言われても、全く説得力がない」
俺と鶫ちゃんの間に火花が散る。
「君が私に注意など、ハッ!笑わせる」
ほんっとにムカつく。この人を馬鹿にした言動が気に入らない。
「何?自分は頭良いとか思っちゃってる系?ダッサー」
「私が頭が良いのは事実だ。君だって自分のことを優秀だと思っているではないか」
その後も売り言葉に買い言葉が続けられ、結局殺せんせーに止められ、廊下に出されたのだった。